前科とは
何らかの犯罪を犯して警察から逮捕されるかもしれない、現在警察から呼び出しを受けている、既に逮捕されている、という場合、そのまま捜査が進んで裁判で刑が言い渡されると、その事実は前科として残ります。
前科がつくことには様々な不利益が伴います。
しかし、事案によっては前科がつくことを回避できる可能性があります。
前科とは
前科とは、過去に刑の言渡しを受けた事実です。
懲役刑や禁錮刑はもちろん、罰金刑や科料も前科に含まれます。
また、執行猶予付きの判決であっても、前科に含まれます。
前科がつくと、どのような不利益があるか
捜査機関が管理している前科調書に記録が残ります
前科調書に記録が残ると、将来、何らかの犯罪を犯した場合、前科があることを理由に、検事の処分や裁判所の判決において不利に扱われる可能性があります。前科調書の記録は、一生残ることになります。
資格や職業が制限される可能性があります
例えば懲役刑や禁固刑(執行猶予付きも含みます)を受けると、一定期間又は無期限で制限される資格・職業として次のものがあります。
国家公務員、地方公務員、警備業者及び警備員、建築士、建築業者、宅地建物取引業者、学校の校長・教師、教育委員会の委員、保護司、保育士、社会福祉士、介護福祉士、貸金業者、司法書士、行政書士、旅客自動車運送事業者、自衛隊員、質屋、古物商、商工会の役員、不動産鑑定士、公認会計士、調停員、人権擁護委員、検察審査員(1年以上の懲役・禁錮に限る)、裁判官、検察官、弁護士等。
また、次の資格・職業については、罰金刑であっても、制限される可能性があります。
医師、歯科医師、薬剤師、看護師、准看護師、保健師、助産師等。
海外旅行が制限される可能性があります
懲役刑や禁固刑を言い渡されると、執行猶予付きであっても、現在持っているパスポートの返納を命じられることがあります。また、パスポートを申請する場合、申請書に刑罰のあることを記載しなければならない場合があり、発給自体が受けられない可能性もあります。さらに、無事日本を出国できたとしても、前科があると入国先によっては、入国ができない場合があります。
前科をつけないためには
不起訴処分となれば前科はつきません。警察が事件について捜査を終えると、その事件は検察庁に送られます。検察庁に事件が送られると、担当の検事が当該事件について起訴・不起訴の判断をすることになります。検事が不起訴と判断すれば、裁判になりません。その場合、当然、前科もつかないということになります。逆に検事が起訴した場合には、裁判で無罪とならない限りは、前科がつくことになります。
しかし、現在の日本の刑事裁判の有罪率が99.9%以上であり、一度起訴されると前科を回避することは難しくなるかもしれません。それに対し、検察官に送致された事件のうち、一般刑法犯の起訴率は40.7%(平成25年度版犯罪白書)です。そこで、前科をつけないためには、なるべく早い段階で、起訴される前に弁護士をつけることが重要となります。特に逮捕や勾留をされている事案については、起訴・不起訴の処分まで時間が限られていますので、より迅速な対応が必要となります。
どのような事件であれば不起訴処分が見込めるかについては一概に断言することはできませんが、自白事件である場合(犯罪行為をしてしまったことに間違いがない場合)、痴漢、窃盗、暴行傷害等の被害者がいる事件であれば、起訴される前に弁護士を通じて被害者と示談ができれば、不起訴(起訴猶予)になる可能性があります。
否認事件の場合、検事が犯罪の嫌疑なし又は嫌疑不十分と考えれば不起訴処分となります。十分な証拠もないのに不当に嫌疑がかけられている場合、弁護士を通じて検事を説得し、不起訴にするよう働きかけることができます。
ぜひ一度、ご相談下さい
前科をつけないためには、弁護士の力が重要です。
起訴される前であれば、事案を早期に把握し、起訴される前の限られた時間の中で適切かつ迅速な対応をとることが求められます。起訴された後であれば、裁判を経て無罪判決をもらう必要があります。
中村国際刑事法律事務所は、検事として数多くの事件の起訴・不起訴の判断をしてきた、元検事の弁護士が関わりますので、不起訴処分を獲得するために、事案に即した迅速かつ最善の対応をとることができます。また、起訴された後であっても、過去に冤罪事件で無罪判決を獲得したことのある代表弁護士が力になり、最善の弁護活動を展開します。