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失職を防ぐ方法を弁護士が解説

職場を解雇されたくないという方へ
刑事事件を起こした人が心配することとしては、逮捕や報道が最大の心配事でしょうが、それに続いて、あるいは、それに関連して関心事となるのは、失職です。職を失えば家族の生活は不安定となり、離婚問題も出てきます。

ただ、刑事事件を起こしたからと言って常に失職するわけでありません。業務上横領など、被疑者自らの職務に関連する事犯においては、懲戒解雇や依願退職を回避することは困難です。しかし、職務とは関係のない私生活上の犯罪、例えば、職場外における痴漢や盗撮といった犯罪では、職場を解雇されることを避けることは不可能ではありません。

以下、失職を防ぐために重要な点を代表弁護士・中村勉が説明いたします。

職場に知られる可能性について

事件のことが職場に知られてしまうと解雇の可能性が高まります。刑事処分が確定するまでは同じ部署の限られた上司や同僚だけで内々に事件情報が共有されるにとどまることもありますが、厳しい刑事処分が下された場合にはそのような対応にも限界があります。被疑者自らの職務に関連しない事犯の場合、警察や検察官は、大抵、事件のことを敢えて勤務先に連絡しないでしょう。ただし、証拠物が会社にあるような場合、本人と連絡がとれなくなった場合等には、勤務先に連絡せざるを得ないこともあります。

また、ありがちな例としては、痴漢や盗撮で逮捕された際に、家族に知られたくないということで、被疑者が、警察官、検察官または裁判官に対し、「家族には連絡しないで欲しい。」と頼むケースがありますが、被疑者本人が警察に拘束されるなどして本人と連絡が途絶えてしまった家族は、本人が交通事故にでも遭ったのではないかなどと心配し、勤務先会社に出勤の有無を問い合わせたり、その際に、心配した会社同僚や上司が警察に問い合わせたり、家族が警察に捜索願を出すこともあります。 こうして、結果的に事件のことが会社に発覚してしまうこともあります。逮捕されたときに、「家族には黙っていて欲しい」という対応をするのはかえって逆効果になり得るということです。

逮捕、報道、そして解雇

事件のことが会社に知られてしまうかどうかという点では、逮捕されるか、それとも逮捕されずに任意捜査で事件捜査を進めてくれるかがとても重要になります。何故でしょうか。警察では被疑者を逮捕したからといって必ずしも勤務先に連絡するわけではありません。

しかし、逮捕されると、警察発表や報道のリスクが高まります。とりわけ、被疑者が公務員の場合、医師、弁護士、会計士等、社会的責任が重い職種の場合、また、民間会社でも上場会社等知名度の高い企業に勤務している社員の場合などには、そのリスクはより高まります。報道がなされれば、当然勤務先に知られてしまい、勤務先としても不名誉なこととして信頼に関わりますから、解雇される危険性が高まります。

残念ながら、弁護士が報道そのものをコントロールするのは、不可能に近いものがあります。しかし、逮捕を回避できれば、発表・報道されるリスクは低下します。ですから、解雇のリスクを最小限にするには、まずは逮捕の回避が重要です。

弁護士同伴による自首・出頭のすすめ

では、どうすれば逮捕を回避できるでしょうか。痴漢や盗撮といった条例違反その他刑罰が比較的軽微な事件では、自ら進んで警察署に自首・出頭すれば逮捕されないことが多いということができます。逮捕の要件とされている逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれがない方向に傾くからです。特に、弁護士が同伴して自首・出頭すれば、警察も、被疑者が逃走しないと信用してくれる傾向にあります。

一方で、殺人、傷害致死、強制性交等致死傷、放火、強盗といった重罰が予定される事犯、常習的・職業的・組織的又は被害額多額の窃盗・詐欺等事犯、複雑または大規模な経済事犯・脱税等事犯、一般に背後組織の存在が疑われる薬物事犯、贈収賄その他社会の耳目を集める重大事犯など、自首しても逮捕を免れない事案もあります。共犯者が多数存在する事犯、軽微でも常習性のある事犯等も、逮捕されやすい犯罪類型と言えます。同じ罪名でも事案の性質・内容により、逮捕される可能性の多寡に差があるのです。

比較的逮捕されにくい犯罪

逮捕される可能性が比較的低い事犯としては、窃盗でも単発的で被害額少額の万引き、偶発的かつ怪我の軽い傷害、小規模かつ被害軽微な名誉毀損・侮辱・器物損壊、単発的な痴漢・盗撮、風営法その他の行政的法規の違反などがあります。ただし、これらの事犯であっても、規模、常習性、社会的影響等によっては逮捕されかねませんし、万引き・傷害・痴漢・盗撮等の事犯でも現場から逃走しているような場合には逮捕される可能性が大きくなります。

初犯の場合は、逮捕されにくくても、同種前科がある場合には重い刑事処分が予想され、逃亡のおそれが大きくなるため、逮捕される可能性が高くなります。逮捕されるおそれが大きい事件なのか、自首・出頭した方がよいのか、報道を回避するにはどうすればよいかなどは、経験ある弁護士にしかアドバイスできません。誤った判断により人生を棒に振らないよう、早めに弁護士にご相談ください。

職場を解雇されないためには

会社に事件のことが知られてしまったからといって必ず解雇されるとは限りません。もちろん、就業規則では犯罪を行った場合を解雇事由の一つとしているでしょう。ただ、懲戒解雇は、労働者にとって死刑宣告を意味する強力な処分なので、とりわけ、会社の職務とは関係のない私生活上の事件の場合には、会社にも慎重な判断が求められています。

懲戒解雇に関する判例の立場について

どのような場合に、私生活上の非行に対して会社が懲戒解雇とすることができるのでしょうか。最高裁判所は、従業員による職務遂行と直接関係のない私生活上の行為であっても、会社の社会的評価に重大な悪影響を与えるような従業員の行為について、会社の規制を及ぼすことは可能であり、社会一般から不名誉な行為として非難されるような従業員の行為により会社の名誉、信用その他の社会的評価を著しく毀損したと客観的に認められる場合に、制裁として、当該従業員を企業から排除することは可能である旨の判断をしています(最高裁第二小法廷判決昭和49年3月15日民集28巻2号265頁、日本鋼管事件)。

つまり、職務遂行と直接関係のない私生活上の行為であっても、会社が従業員に対して懲戒解雇すること自体はできますが、「会社の社会的評価に重大な悪影響を与えるような」行為である必要があり、会社の社会的評価を若干低下させる程度の行為では懲戒解雇とすることはできません。

例えば、上記判例の事案(日本鋼管事件)では、従業員の行為により、会社の社会的評価を若干低下させたこと自体は否定できないとされた一方で、従業員の行為が破廉恥な動機、目的に出たものではなく、これに対する有罪判決も比較的軽微なものにとどまり、その不名誉性はさほど強度ではないこと、会社が従業員3万人を擁する大企業であり、従業員の会社での地位は高くなかったことなどを総合的に考慮し、結局、懲戒解雇・諭旨解雇の事由とするには不十分であると判示されました。

以上のように、職務遂行と直接関係のない私生活上の行為であっても、会社が従業員に対して懲戒解雇することが許されるかどうかは、様々な考慮要素を相当的に考慮しなければ判断できません。迷う場合は弁護士に具体的な事情を説明した上でアドバイスを求めた方がよいでしょう。報道がなされた場合は、その要件に当たる可能性が高いと言えましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。刑事事件を起こしてしまった場合、懲戒解雇はやむを得ないと考えがちかもしれませんが、そもそも会社に事件を起こしたことが知られるのかどうかは事件の内容によって異なり、また、会社に知られてしまったとしても必ずしも懲戒解雇が許されるわけではないことがおわかりいただけたかと思います。ご不安な場合は、早期段階で弁護士にご相談ください。

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当事務所は、刑事事件関連の法律相談を年間3000件ものペースで受け付けており、警察捜査の流れ、被疑者特定に至る過程、捜査手法、強制捜査着手のタイミング、あるいは起訴不起訴の判断基準や判断要素についても理解し、判決予測も可能です。

  • 逮捕されるのだろうか
  • いつ逮捕されるのだろうか
  • 何日間拘束されるのだろうか
  • 会社を解雇されるのだろうか
  • 国家資格は剥奪されるのだろうか
  • 実名報道されるのだろうか
  • 家族には知られるのだろうか
  • 何年くらいの刑になるのだろうか
  • 不起訴にはならないのだろうか
  • 前科はついてしまうのだろうか

上記のような悩みをお持ちの方は、ぜひご相談ください。

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