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痴漢事件で不起訴を目指す弁護活動

この記事にアクセスいただいた方の中には、ご自身が痴漢をしてしまった方、ご家族が痴漢をして逮捕されてしまった方がいらっしゃるかと思います。また、自分は痴漢をしていないのに、痴漢を疑われて警察沙汰になってしまったという方もいるかもしれません。

この記事では、痴漢事件を起こした場合の刑事手続の流れや、不起訴を目指すためにはどのような弁護活動ができるのかご説明していきます。

痴漢事件を起こしてしまったら

痴漢事件を起こしたことによって、今後、どのような刑事手続が待っているのでしょうか。逮捕、勾留、取調べ、起訴、罰金、裁判、前科…など、インターネットで検索しただけでも、色々な用語が出てきて、不安ばかりを募らせてしまう方もいるかもしれません。

痴漢事件を起こし、起訴されてしまうと、前科がついてしまいます。誰しも、前科をつけたくないと考えるのは当然のことと思います。
公務員などの職業や国家資格を必要とする職業に就いている方は、前科がつくことで、法律上就業を制限されたり、資格を失ったりすることがあります。また、公務員などの一定の職種に就いている方の場合には、起訴されたことをもって実名報道がなされてしまうケースもあります。

このように、起訴されてしまうことによって、日常生活に生ずる不利益を避けるためには、不起訴を目指すことが大切になります。

痴漢事件の起訴率、不起訴率

1. 起訴、不起訴の内容

起訴された場合であっても、すべての事例において、皆さんがイメージするような公開の法廷における裁判が開かれるものではありません。一般に、公開される裁判となるものと、公開される裁判は行われずに略式命令として罰金となるものがあります。

略式命令のための略式手続は、簡易裁判所において刑事法に定める公判手続によらないで、一定額以下の罰金又は科料を科する簡易手続です。
検察官から呼び出しを受け、手続について検察官から説明を受けたうえで、示される書類に署名をすることで、略式手続に同意したものとされます。無罪を争うなどの理由で、略式手続に異議があれば正式裁判とすることもできます。略式命令によることになれば、公開の裁判にもなりません。もっとも、略式命令であっても、前科にはなるため注意が必要です。

不起訴になる場合、その理由としては、「起訴猶予」、「嫌疑不十分」、「嫌疑なし」という3つの種類が考えられます。

起訴猶予」とは、被疑者が被疑事実(犯罪事実)を行ったことは明白であるものの、被疑者の性格や年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情状により、不起訴となることをいいます。
具体的には、被害者との間で示談が成立するなどして被害者が刑事処罰を求めていない本人が反省している、再犯防止策がとられている、などの事情を検事が総合考慮して、最終的な判断をします。

嫌疑不十分」とは、被疑者が被疑事実(犯罪事実)を行ったことを認定するための証拠が不十分である等の事情で、不起訴となることをいいます。

嫌疑なし」とは、被疑者が被疑事実(犯罪事実)を行っていないことが明白である等の事情で、不起訴となることをいいます。

2. 起訴率、不起訴率

痴漢事件を起こしてしまった場合の起訴率、不起訴率を、具体的な数値で見ていきましょう。

迷惑行為防止条例違反

2021年検察統計における「罪名別 被疑事件の既済及び未済の人員」によると、地方公共団体条例違反の場合(公安条例及び青少年保護育成条例以外の条例)、4,413件は起訴され、3,539件は不起訴となっています。

起訴された4,413件のうち、公判請求は867件、略式命令請求は3,546件です。このことから、迷惑行為防止条例違反で起訴される場合の約8割が、正式な裁判を開かれることなく、罰金又は科料となっていることが分かります。また、不起訴になった3,549件のうち、不起訴理由の内訳を見てみると、2,934件が起訴猶予、508件が嫌疑不十分、12件が嫌疑なしとなっています。

迷惑行為防止条例違反が禁止している行為は、痴漢の他に、盗撮、覗き、露出、付きまとい等も含まれるため、この数値は痴漢のみを示す数字ではありません。残念ながら、迷惑行為防止条例違反のうち、痴漢のみを抽出した統計資料は公開されていません。
しかし、この数値は、痴漢事件の起訴率を考えるに当たって、一つの資料として参考にすることができます。

強制わいせつ罪

2021年検察統計における「罪名別 被疑事件の既済及び未済の人員」によると、強制わいせつ罪の場合、4,114件のうち、約3割の1,187件が起訴され、公判請求されています。強制わいせつ罪は、迷惑行為防止条例とは異なり、罰金刑の定めはないので、起訴された場合は必ず公判請求となります。また、不起訴になった2,563件のうち、不起訴理由の内訳を見てみると、1,136件が起訴猶予、1,102件が嫌疑不十分、0件が嫌疑なしとなっています。

強制わいせつ罪といっても、様々な態様ものがあるので、ここでご紹介した数値には、痴漢事件以外の事件も含まれています。
しかし、これらの数値も、痴漢の起訴率を考えるに当たって、一つの資料として参考にすることができます。

痴漢事件で不起訴を目指した弁護活動

1. 示談

痴漢事件は被害者のいる犯罪ですから、被害者との間で示談交渉をすることが大切です。
しかし、痴漢の被疑者と被害者の当事者同士が直接連絡を取り合って、示談交渉をすることはほぼ不可能です。なぜならば、痴漢を含む性犯罪の場合、被害者の方は、犯人に対する恐怖心や嫌悪感から、犯人と直接会うことはもちろん、連絡先を教えることに対し強い抵抗を感じることがほとんどだからです。

示談交渉を行うためには、第三者かつ専門家である弁護士の存在が必要となります。弁護士が間に入ることで、弁護士が被害者の感情に配慮しつつ示談交渉を進めることができます。示談を成立させることで、不起訴の獲得を目指すことになります

2. 更生に向けた活動

痴漢事件を起こした人の中には、本当は痴漢をやめたいけれど繰り返してしまうなどの性依存症的な傾向を抱えていたり、本当は痴漢の被害者が嫌がっていると思えないなどの認知の歪みがあったりするなど、ご自身の中では解決できない悩みを抱えている方もいらっしゃいます。
被害者との間で示談が成立し、不起訴を獲得したにもかかわらず、再度、痴漢事件を繰り返してしまうなど、常習的に痴漢を行ってしまうような場合には、検察官としても再度の起訴・不起訴に関しては厳しい判断にならざるを得ません。

このような場合、不起訴に向けた活動として、被害者との間での示談や、ご自身の反省状況に加え、性依存症等の治療を行っている専門的なクリニックへ通院をすることも考えられます。自らの意志のみでは痴漢を止められない場合は、専門家の力を借りることも必要です。クリニックで何を学び、考え方がどう変わっていったのかを、弁護士が検察官に伝え、検察官に「この人はもう再犯をしないだろう」と思ってもらうことで、不起訴の獲得を目指すことになります。

3. 自首

痴漢をして被害者にとがめられたものの、怖くなってその場からとっさに逃げてしまったような場合には、捜査機関が犯人を突き止める前に、自首をすることが考えられます。自首をすることで、逮捕・勾留などの身体拘束を回避できる可能性が高まります。

自首をしたことだけをもって不起訴になるわけではありませんが、自首をすることは反省の表れではありますので、不起訴に傾きやすくなる一つの材料にはなります。

4. 冤罪

自分は一切痴漢を行っておらず犯人は別にいる、被害者に手は当たってしまったもののわざとではない、などの痴漢の冤罪の場合には、警察・検察からの取調べ対応について弁護士と相談することが必要です。なぜならば、自分は否認の話をしているつもりでも、自分が気付かないうちに、自白したような内容の調書が作成されてしまうことがあるからです。また、逮捕や勾留を恐れて、冤罪であるにもかかわらず、虚偽の自白をしてしまうこともあります。

基本的には、一度作成されてしまった調書の内容を取り消すことはできません。

不利な内容の調書が作成されてしまうことで、起訴される可能性が高まる危険性もありますし、仮に起訴されてしまった場合に、裁判で無罪を争う際の妨げになる危険性もあります。したがって、弁護士と十分な打合せをしたうえで、取調べに臨み、嫌疑不十分を理由とする不起訴を狙っていくことになります。

痴漢事件の冤罪の場合にも、相手の方にご迷惑をかけたことについて謝罪をする、というように、否認を前提にしつつ示談交渉をしていく場合もあります。そもそも示談交渉をすべきかどうか、弁護士と相談して判断をする必要があります。示談が成立した場合には、不起訴となる可能性が高まります。

まとめ

ご自身あるいはご家族が痴漢事件を起こして逮捕されてしまった場合や、逮捕されずとも、警察からの取調べを受けている場合には、私たち弁護士に是非ご相談ください。

誰しも前科をつけたくないと考えるのは当然のことと思います。特に、前科がついてしまうことで就業を制限されたり、失職したりする可能性があるような方の場合には、早期に弁護士に相談し、適切な対応を取ることが、起訴・不起訴の判断を大きく左右する結果となることがあります。不起訴を獲得し、前科がつかないようにするためには、弁護士へ相談することが大切です。

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当事務所は、刑事事件関連の法律相談を年間3000件ものペースで受け付けており、警察捜査の流れ、被疑者特定に至る過程、捜査手法、強制捜査着手のタイミング、あるいは起訴不起訴の判断基準や判断要素についても理解し、判決予測も可能です。

  • 逮捕されるのだろうか
  • いつ逮捕されるのだろうか
  • 何日間拘束されるのだろうか
  • 会社を解雇されるのだろうか
  • 国家資格は剥奪されるのだろうか
  • 実名報道されるのだろうか
  • 家族には知られるのだろうか
  • 何年くらいの刑になるのだろうか
  • 不起訴にはならないのだろうか
  • 前科はついてしまうのだろうか

上記のような悩みをお持ちの方は、ぜひご相談ください。

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刑事事件は初動の72時間が重要です。そのため、当事務所では24時間受付のご相談窓口を設置しています。逮捕されると、72時間以内に検察官が勾留(逮捕後に更に被疑者の身体拘束を継続すること)を裁判所に請求するか釈放しなければなりません。弁護士へ依頼することで釈放される可能性が高まります。また、緊急接見にも対応しています。迅速な弁護活動が最大の特色です。

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