示談成立や更生に向けての活動で不起訴を獲得
路上で面識のない女性に対して自己の陰茎を露出し見せつけたという、公然わいせつ事件です。
被疑者が居住する地区の路上において、歩行中の女性に対し、自己の陰茎を露出し見せつけたというものです。被疑者と被害者の間に面識はありませんでした。事件後、自責の念に駆られた被疑者が当事務所に相談し、受任に至りました。
まず、受任から数日以内に警察署に向かい、自首をしました。
既に被害届は提出されており、不審者情報として公表されていました。その後、被害者への謝罪と示談の申し入れを行いました。
捜査段階では被害者から示談を拒否されていたものの、検察庁送致後に改めて示談の申し入れを行ったところ、被害者の理解を得ることができ示談が成立し、被害届も取り下げてもらうことができました。
被害者の感情を和らげ、示談成立させることができた一因として、依頼者の意向で本件事件を起こした地区から引っ越しを行ったことも挙げられます。
本件について、被疑者自ら家族に打ち明け、話し合いを行った結果、家族の支えを得ることができました。家族には身元引受書を書いてもらい、生活の監督をしてもらうと同時に、依頼者自身もカウンセリングに通うなど前向きな活動をしてもらいました。
以上の弁護活動の結果、検察庁送致後は、呼出を受けることなく不起訴となりました。
事件のポイント
本件は加害者及び被害者の生活圏内で発生した公然わいせつ事案です。例えば、強盗や窃盗など計画的かつ利欲的犯罪にあっては、犯人は自らの生活圏で犯行に及ぶことはなく、「あしがつかないように」生活圏外の遠方で犯行に及びます。
しかし、性犯罪は計画的というより酔余ないし突発的な欲情によって犯行に及ぶので、自らの生活圏内で敢行することが多いです。そのことは被害者も感じているので、必ず被害届を出して犯人検挙を警察に求めますし、地域の安全を担っている警察も必死に捜査します。
本件でも被害届は既に出ていましたし、警察は地域に不審者情報を流して犯人検挙のための捜査進行中だったのです。
ですから、「たぶん被害届なんて出さないだろう」というのは大きな間違いです。直ちに弁護士に相談し、自首を検討すべきなのです。その意味で本件は正しい判断をして、弁護士に迅速に相談して自首した結果、案の定、被害届は既に出ていたものの、逮捕されずに不起訴となりました。
また、示談にあたっては、被害者は二度と同じ目に遭いたくないことから犯人に引越しを求めるのは当然であり、それに応じたことが示談成立のポイントとなりました。
執筆者: 代表弁護士 中村勉