事案概要
うつ病を患っていた依頼者が、幼いわが子2名を殺害し、自殺を図ったが、一命をとりとめ、殺人罪で逮捕・勾留されたという無理心中の事案。
弁護方針
逮捕直後に初回接見したところ、依頼者は事件当時の記憶がなく、精神障害が見受けられたため、責任能力を争う方針を立てた。
精神的に不安定な依頼者は取調官の誘導に乗りやすいと思われたため、高頻度で接見し、取調べ内容の詳細を逐一確認するとともに、記憶にないことをあるかのように調書に取られないよう、丁寧にアドバイスした。
勾留されて約2週間後、担当検察官と直接面会して精神鑑定の必要性を訴えたところ、間もなく鑑定留置となり、約3か月にわたる精神鑑定が行われた。
その間も定期的に接見して鑑定内容や鑑定医の動きを把握しつつ、同時並行で依頼者の過去のカルテ一式を各病院から取り寄せ、不起訴意見書を起案するための材料を集めた。
カルテからは、依頼者は事件から20年以上も前から精神疾患があり、特に犯行の直近は症状が重篤であったことが客観的に判明した。
鑑定留置が終わって間もなく、担当検察官と再度直接面会し、また、被害者の病状を具体的に記載し、心神喪失を理由に不起訴を求める意見書を提出した。
結果
不起訴意見書を提出して間もなく、心神喪失を理由に不起訴処分となった。