盗撮事件で速やかな出頭により逮捕と報道を回避した事例
サラリーマンの男性が、通勤中に下車した駅でスマートフォンで盗撮をするも相手女性に気付かれてスマートフォンを取り上げられ、焦った依頼者はその場から逃走してしまったという事例です。
女性が警察に被害申告し、警察がスマートフォン内の情報等から依頼者を特定するのは時間の問題と思われました。
逃走してしまっていることから、逮捕の可能性も高い事案でした。
また、本人が鉄道関係の仕事に勤務していたことから、逮捕されると報道の可能性も危惧される事案で、今後の将来への影響に対する不安は計り知れないものでした。
初回相談後、弁護士が逮捕を回避するよう上申する文書を速やかに作成し、翌朝一番で依頼者とともに警察署に出頭しました。
自ら出頭したことが奏功して在宅捜査となることが決まり、逮捕は回避できました。
その後、警察から、被疑者の身元の特定のために職場に在籍確認をする旨の連絡がありましたが、弁護士が犯罪捜査規範などの法令を根拠に、いたずらに被疑者の名誉を侵害すべきでない旨を主張して警察を説得し、職場への連絡も防ぐことができました。
真摯な示談交渉により被害者との示談も成立し、この事件は逮捕も報道もないまま不起訴によって終結いたしました。
事件のポイント
おそらく本件では出頭が1日遅かったら逮捕されていたでしょう。逮捕されると、本件では鉄道関係者による通勤途中の事案ですので実名報道される上、勤務先が解雇となること必至の事案です。
スピードは正義であるとの当事務所のポリシーから担当弁護士は迅速に動き、かつ、法規範を武器に依頼者を徹底的にディフェンスした事案です。
もちろん盗撮は許されざる犯罪です。ただ、その行為以上の不利益、例えば社会的に抹殺されるというような不利益を法の根拠なく受けるべきではないというのが、ベッカーリア以来の自由主義思想です。
執筆者: 代表弁護士 中村勉