再逮捕に負けず黙秘を貫き不起訴処分を獲得
特殊詐欺の受け子の事案です。
逮捕されて1週間頃までは国選弁護人がついていましたが、国選弁護人が刑事事件に詳しくなく「藁にもすがる思いで当事務所に相談した」という家族からの依頼でした。
家族からは、現在逮捕されている件以外に余罪があると聞いていたものの、被害額は総額500万円程度と聞いており、初回接見でも依頼者本人からそのように聞いていました。しかし、接見を重ねていく中で、本人から突然、「実は、よくよく考えてみると、被害額は1500万円ぐらいになりそうです…」と打ち明けられました。
1500万円全額が起訴されれば、仮に全額被害弁償をしたとしても実刑がほぼ確実でした。
なので、当事務所の弁護士がついてからは完全黙秘を徹底し、証拠不十分での不起訴を目指しました。
もっとも、逮捕直後に不利な供述をいくつもしてしまっていたことから、起訴される可能性も十分に考えられました。家族としては、仮に実刑であっても、少しでも減刑を目指したいとの要望であったため、金策に励んでもらい、家を売るなどして、結果的には被害額全額を賠償できるほどのお金を用意してもらうことができました。
特殊詐欺の事案は、何度も再逮捕が繰り返され、身体拘束が長期化します。今回も例にもれず、何度も再逮捕が繰り返されました。
依頼者は、身体拘束が長引くにつれて心が弱り、取調べではついつい喋ってしまいそうになることもありましたが、弁護士が頻繁に接見に行き、依頼者を励まし続けました。
依頼者が完全黙秘を貫いた結果、再逮捕が何度も繰り返されたのち、突如処分保留で釈放されました。
一件も起訴されることなく、逮捕された件は全てが嫌疑不十分により不起訴処分となりました。