示談成立により被害届が出されず事件化を回避
被疑者が泥酔して目の前に立っていた被害者の首元に唾を吐きかけ、腕に噛みついた暴行事件です。
被疑者は当時酔っており、記憶はおぼろげだったものの、自分が被害者に唾を吐いて噛みついたことは覚えており、犯行を認めていました。
受任後、弁護人は早急に被害者に対し示談の申入れをし、同時に被疑者には再犯防止策を考えてもらいました。
被害者は、当初は被害届を提出する予定であったものの、弁護士を通じて早期に示談を申し入れたこと、被疑者と相談のもと誠意を持って対応したこと、被疑者の反省を弁護士から口頭にて伝える等した結果、示談が成立しました。また、被害届の提出もしないこととなりました。
示談成立後、警察に対し、被害者との間で示談が成立したこと、被害者に今後被害届を出す意思がないことを伝えたところ、被疑者は警察から呼び出しを受けることもなく、不立件に至りました。
事件のポイント
本件は早期の示談により立件されずに終結した事案です。早めに弁護士を雇うことのメリットは、何よりも警察から検察庁に送致されることなく不立件で終結できる点にあります。
例えば、本件で弁護士を雇わなかった場合、被害者は被害届を提出し、警察により数回取り調べを受け、現場検証も行って、事件が検察庁に送致され、数ヶ月後に検察官から呼び出しがあり、取り調べを受け、処分されます。
この間、半年かかることもあり、刑事手続きの負担も大きいのです。
執筆者: 代表弁護士 中村勉