再犯防止策を構築して即座に実行し不起訴を獲得
公園のオープンスペースで着替えをしていた未就学児2名を盗撮した事例です。
児童の両親が発見し、被疑者が警察署にて上申書を書いた後に相談があり、受任に至りました。
本件は初犯でしたが、別件で50~100人近く同様の余罪がありました。
弁護人の迅速な示談交渉によって、当日の通報者の一方とは示談が成立しましたが、もう一方は連絡したくないとのことで示談は成立しませんでした。
警察は、タブレット端末に記録された別件の余罪を立件し、検察庁に事件送致を行いました。
検察庁送致後、弁護人は、被疑者作成の日記、依存症治療における専門クリニックでの治療実績、カメラ付きスマートフォンのカバーをスライド式に変更したことの報告書、タブレット端末のカメラ部分にマニキュアを施していることの報告書などを添付した上で意見書を作成し、検察官と面談を行いました。
当初、被疑者取調べが実施される予定でしたが、検察官面談、意見書を踏まえて被疑者取調べが実施されることなく不起訴処分を獲得することができました。
事件発覚後すぐに弁護人が、被疑者作成の日記や専門クリニックに繋げたことが実を結んだものと思われます。
事件のポイント
盗撮行為は、被疑者の事件発覚で目が覚めることがあります。一種のショック効果で、強制性交等罪のような重罪の性犯罪と犯人像は異なります。軽い気持ちで、人知れず自己の楽しみのような感覚で始め、それが習慣化してしまうというパターンです。
ですから、盗撮段階で摘発された場合、ショック効果もあって更生は図りやすいですが、性犯罪は常にエスカレートする性質があり、重罪に移行する前の再犯防止や治療がなによりも重要です。
本件は、その点を踏まえた弁護活動により、不起訴となっただけでなく、将来にわたっての再犯防止が図られた一例と思います。
当事務所は、目先の起訴・不起訴といった結果のみならず、その人の将来にわたっての更生を視野に入れた活動をしています。
執筆者: 代表弁護士 中村勉