早期に被害会社と交渉し事件化回避
数か月間にわたり、ウェブサイトの新規会員登録をすることで得られる3,000円分のポイントギフト券を複数回だまし取ったという詐欺の事例です。実際に受け取った被害額は約6万円でした。
相談者は、運営会社からアカウント停止処分としかるべき対応をする旨の通知が来たことで当事務所にご相談があり、その時点では刑事告訴などにより事件化しているかどうかは明らかではありませんでした。また、相談者は大企業に勤務しているため事件化した場合には、個人情報が公表されるおそれがあるなどのリスクが考えられました。
弁護士はまず、被害会社に対して、損害賠償を申し出て、刑事事件に発展しないことを目指しました。
被害金額が少額とはいえず、新規登録件数が多く、新規会員登録ごとにメールアドレスや氏名を変更してなされたものでしたので、弁護士は被害会社に対して、新規会員登録の日付、電子メールアドレス、登録氏名などの事実を開示した上で早期に示談を申し入れました。
被害会社は弁護士の開示情報を調査したところ、事実であることが確認ができ、宥恕、口外禁止、清算条項を含めた円満な示談が成立しました。
事件のポイント
被害額が少額でも反復累行する事案は刑事事件化の可能性があります。被害会社の憤りはそれほど強いのです。
このような場合、被害会社の被害感情を和らげることが何よりも重要で、加害者一人ではそれはできません。弁護士が必要です。
今回は被害感情が拗れる前に早い段階でご相談いただき、かつ、余罪自白を含めた誠意ある対応により示談成立に至り、大事にならずに済んだ事例でした。
執筆者: 代表弁護士 中村勉