依頼者の認識を明確に示した弁護活動で不立件を獲得
指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準違反の事例をご紹介します。
依頼者はこちらの罪名で市役所から監査が入ったものの、弁護活動の結果として不立件に至った事例でした。
事案の内容は、依頼者が勤めていた施設で、入居者に対しガイドラインの要件を満たしていない違法な身体拘束が行われている疑いが生じ、市役所から監査が入りました。依頼者は同施設の管理者という立場であったため、施設を運営している法人が介護保険法上の指定取消処分を受けると、5年間管理者になれず、転職活動に悪影響が生じるため、当事務所に対応を依頼しました。
なお、依頼者は、入居者への身体拘束の事実を聞いてはいたものの、詳細を聞いていなかったため、身体拘束がガイドラインに違反していることを知りませんでした。
監査の中で、監査チームから運営法人に対し従業員への聞き取り調査を要求され、依頼者のもとにもアンケートが届きました。
しかし、そのアンケートに回答し、その後の対応を運営法人に任せきりにしてしまうと、依頼者の認識と異なる報告書が作成されてしまうおそれがありました。そのため、アンケートには回答しつつ、別途、依頼者の認識等について弁護士が意見書を作成して監査チームに直接送付することにしました。
また、依頼者は運営法人からヒアリングのために呼び出されたため、事前準備を行うとともに、弁護士がヒアリングにも同席し、必要な助言を行ないました。結果として、不立件に至りました。
事件のポイント
行政による調査案件は、普通の弁護士は経験が少なく、対応ノウハウをもっている弁護士も少ないです。そもそも弁護士の仕事という意識をもっていない弁護士もいます。
しかし、行政処分は刑事処分と同等ないしそれ以上の不利益を個人にもたらすことがあり、行政処分の適正、手続きの公正は図られなければなりません。
本件はそうした依頼者の期待に応え、過度に行き過ぎた不当な処分を回避できた案件と言えます。
執筆者: 代表弁護士 中村勉