少年への更生に向けた弁護活動で保護観察処分
事件の概要
高校生の少年が、知人の女子中学生に対し、屋外で無理矢理胸や陰部を触るなどのわいせつ行為をして負傷させた強制わいせつ致傷罪で警察の事情聴取を受けた。初めて警察からの呼び出しを受けて心配になった両親が来所相談し受任。
弁護方針
相談時ではまだ逮捕されていなかった。強制わいせつ致傷罪は裁判員裁判対象事件であり、重大事件であるため、成人であれば通常、逮捕される事案である。しかし、少年は軽度の知的障害を有していたこともあり、長時間の取調べや身体拘束には不向きであったため、まずは担当警察署へ在宅捜査を進めるよう意見書を提出した。その結果、逮捕されずに在宅捜査となった。
その後は、取調べがある都度、少年と密に連絡を取り、逐一取調べ状況を確認し、取調べアドバイスをしながら一緒になって捜査を乗り切った。また、思春期の少年にとっては、自分で適切に性欲をコントロールすることが大切であることから、性嗜好障害専門クリニックへも通院してもらい、自身の性的関心や問題点と向き合ってもらった。専門クリニックへの通院には両親にも付き添ってもらい、一緒に性問題について考えてもらった。そして、専門クリニックとも連携を取りながら、通院環境を整え、そのほかの生活状況も改善してもらった。
結果
強制わいせつ致傷罪は重大事件であり、少年院送致処分となる可能性も高かった(実際に警察、検察、鑑別所の処遇意見は少年院送致処分相当であった)が、少年審判では、専門クリニックに通い再非行の可能性がないことや両親の監護能力も十分であることが認められ、一般保護観察処分となった。