少年の更生に向けた弁護活動で保護観察処分を獲得
事件の概要
一人暮らしをしていた少年が、路上で女性のカバン内から財布をひったくろうとした際に被害者を負傷させた強盗致傷として令状逮捕された。少年は逮捕当初から、「ひったくり目的で、怪我をさせるつもりはなかった」と話していた。少年を心配した家族から来所相談を受け受任した。
弁護方針
少年は、ひったくりは認めていたが、怪我をさせるつもりはなかったと一貫して供述し、強盗致傷の一部を否認していたため、足繁く接見へ行き、少年を励まし、適切な取調べアドバイスをした。また、遠く離れて暮らす家族へ、少年の様子を伝えた。そして、検察官に対し、本件では少年が最初からひったくり目的であったことや、凶器や道具も何ら使用していないため、犯行抑圧に足る暴行脅迫がない点を主張し意見書を提出した。その結果、家庭裁判所への送致罪名は、強盗致傷罪ではなく、窃盗未遂罪にとどまった。
勾留期間中は少年に反省日記を書いてもらい、反省を促した。監護者である祖母の協力を得ながら、少年の学校環境や生活環境などを調整し、釈放されてからもしっかりと監督できる環境作りに努めた。その上で、家庭裁判所に対し、事案が軽微であること、少年の反省が深まっていること、祖母の監督に十分期待できることなどを主張した。
結果
観護措置を回避することに成功し、家裁送致時に無事釈放された。
少年審判においても、少年の反省状況や、事案の軽微さ、環境調整の結果再非行可能性がないことを説得的に主張し、一般保護観察処分(短期)となった。