同種前科あったが再犯防止策を講じ公判請求を回避
事案の概要
被疑者は、駅構内店舗において商品を数点(被害金額数千円)を万引きしたところ、警備員に発見され、通報された。
被疑者は他店において数年前から何度か万引きを繰り返しており、しかも、同種万引きの罰金刑の前科があり、検事から「今回は罰金という訳にはいかない。正式起訴する」と言われたため、相談来所し、受任した。
弁護方針
被疑者は典型的なクレプトマニア(窃盗症)の特徴を有していたことから治療を受けてもらうべく、提携する専門クリニックを紹介し、同クリニックへの通院を開始してもらった。そして、クリニックへの通院状況や通院前と後との心境の変化等を把握し、被疑者のこれまでの万引きは病的なものであり治療が必要であったこと、これから根本的な治療を続けることにより再犯の可能性が低いことを意見書に記載した。
本件の心理的引き金となった原因を解明し、その点が現状では解消されていること、今後、同じような状況には陥らないような環境作りができている点も意見書に記載した。
被害店舗との関係では既に盗品が還付されてはいた。それ以上の示談手結には難色を示したため、贖罪寄付を行った。
結果
検察官の処分において上記諸事情が考慮され正式起訴とはならず、「弁護士さんが頑張ってくれたので最後のチャンスを与える」として、略式罰金処分となった。