示談拒否も真摯な弁護活動で一転、スピード解決し不起訴を獲得
外国人である依頼者が、外国から日本行きの飛行機の中で、隣に座っていた面識のない女性の胸を撫でたり揉んだりしたとして逮捕された強制わいせつの事案です。
検察官に被害者への取次ぎをお願いしたものの、被害者は検討するとの回答にとどまり数日経過したため、弁護士において検察官と面談し、示談金の原資はすでに家族から預かっていることや、弁護士において家族と密に連絡をとっており、依頼者を早期に出国させることが可能であること等を被害者にお伝えいただくようお願いしました。
その結果、検察官による口添えもあり、勾留満期日の4日前に被害者と連絡をとることができました。その翌日、すなわち満期日の3日前に被害者との間で示談が成立し、依頼者は満期日に処分保留で釈放されました。後日、不起訴が決定しました。
依頼者は日本には他国行きの飛行機への乗継ぎのためだけに降り立っていたのですが、逮捕されることにより不法入国扱いとなってしまっていたため、釈放の当日、依頼者は入管に移送されました。もっとも、弁護士において直ちに入管の担当者と連絡をとり、本人が自費出国を希望していることを伝え、入管指定の航空会社の航空券を購入するのに足りる現金をご家族から預かって同日差し入れました。
結果、本人は入管へ移送された10日後に出国することができました。
事件のポイント
強制わいせつその他の性犯罪においては、被害者との示談が検察官の処分に大きな影響を及ぼします。しかし、被害者が、そもそも被疑者側との接触を嫌い、連絡先さえ教えたくないとおっしゃることも珍しくありません。
本件において検察官が被害者への取次に積極的でなかったのは、そのような事情があったのかもしれません。
そこで、弁護士としては、検察官と直接面談し、依頼者家族と迅速で密な連絡を取り合っていることや、それゆえ、示談成立のあかつきには、示談金の支払が確実であり、被疑者が早期に出国することも担保され、今後被疑者が被害者と接触する可能性はなくなることなどを説き、検察官の信頼を得た上で被害者に伝えてもらい、極めてスムーズかつ短期に示談をまとめることができました。入管との連絡についてもまたしかりです。
外国語の素養を持つ弁護士が、被疑者の家族と密な連絡を取った上、素早く示談の前提条件を整えた上、処分の権限を持つ検察官に対し、早期に現実的な示談の見込みを伝え、その信頼を得たことが本件のスピード解決の勝因です。