原審判決の問題点を的確・丁寧に分析して主張した結果、逆転執行猶予判決を獲得
事案概要
離婚調停中の夫からの養育費が支払われなくなり、夫の父親に対し、その支払を要求する趣旨の連絡をしたことに対して恐喝未遂となった事案です。執行猶予中の再犯であり、1審の判決は実刑となってしまった事件でした。
弁護方針と弁護活動のポイント
本件は養育費の支払請求という本来正当な権利行使が行き過ぎた事案であり、原審判決はそのことを殆ど考慮していないように思われました。また、原審判決は被告人が精神障害にり患していたことを認定しながらそのことも殆ど考慮しておらず、量刑不当が問題でした。
そこで、犯行に至った経緯における被告人側への同情の余地の大きさ等を丁寧に主張し、また、精神障害の影響については、診療録を入手してこれをもとに具体的に検討し、原審の量刑が過大であることを説得的に論じました。
控訴趣意書では、原審記録から被告人に有利な事情を丁寧に拾い上げ、本件が正当な権利行使が行き過ぎた事案であること、養育費という母子の生活に関わる金銭の請求である以上、請求の態様が相応に強度になることはやむを得ないことなどを明らかにしました。
他にも被告人の診療録を取り寄せ、原審の精神障害の評価が不合理であること、被告人の服薬状況と病状の変化に照らせば、本件犯行時には服薬をしていなかったために病状の悪化が犯行に強く影響していたはずであるのに、原判決はこれを見過ごしていることなども主張しました。
弁護活動の結果
判決は、弁護人の主張をほとんどその通りに受け入れて原判決の不合理さを指摘し、原判決を破棄して執行猶予付きの判決を言い渡しました。