スピード示談解決で不起訴
盗撮の事例をご紹介します。
未成年の被害者にエレベーター内で盗撮した事例で、弁護活動の結果として不起訴処分が得られました。
事案の内容は、同じマンションに居住する未成年の被害者に対し、エレベーター内で、スカートにスマートフォンを差し入れ、盗撮したというものでした。
被疑者が逮捕された当日、ご家族の電話相談を受けてすぐに接見し、早急にご本人の誓約書と両親の身元引受書をそろえ、その翌日にそれらを添付した勾留請求却下意見書を提出しました。
依頼者は被害者と同じマンションに居住しており、身柄開放が難しいと思われたので、依頼者の釈放後、早急にご家族と話し合いをしてもらい、退去のめどをつけさせました。
そして依頼者の現住所からやや離れた地域に住む両親が身元引受人となることで、距離を引き離し、勾留却下に成功しました。
被害者代理人弁護士より、自分から退去を申し出た点を高く評価され、スムーズに示談交渉をスタートさせることができました。
具体的な時期を定めた上でマンションから退去することを誓約条項に盛り込むことにより、釈放から2週間も経たずに早急に示談を締結させることに成功しました。
早期に示談締結したことにより、最初に逮捕された日から数えて1か月半も経たずに不起訴処分が決まり、在宅事件の中では比較的早期に解決することができました。
事件のポイント
加害者と被害者の生活圏が近接している本件のような事案では、被害者も被害届を出すことによる報復や嫌がらせを恐れていることから警察や検事そして裁判官は、身柄拘束の判断に際し、被害者のセキュリティを何よりも重視します。よって、本来なら逮捕せずに在宅捜査にするような比較的軽微な事案ですら逮捕に踏み切ります。
検察官も勾留請求しますし、裁判官も高い確率で勾留を認めるのです。一度勾留されると、勾留延長は不可避です。
このような生活圏近接事案の身柄解放活動にあたっては、生活圏切り離しがポイントとなります。
これは弁護士にしか出来ず、警察や検事が公権力により為すことができない活動ですし、そもそも行いません。
本件では、このような性質を内在する事案であることを踏まえ、迅速に生活圏切り離しを進めて身柄解放に成功した事例です。
公判弁護しか経験のない弁護士であれば、捜査段階では弁護のしようがないと諦め、20日間勾留される結果となるような事案です。捜査段階においても、弁護士が、身柄解放に有利な証拠を積極的に収集し、実質的当事者主義を実現しなければなりません。
執筆者: 代表弁護士 中村勉