多数の被害者全員と示談成立で執行猶予を獲得
依頼者がいわゆる特殊詐欺の受け子・出し子を多数回行った特殊詐欺の事案です。
出し子はATMでお金を引出す際にカメラに姿が映るため、余罪が立件され再逮捕が続くことが予想されました。
再逮捕、追起訴が続き、最終的に起訴されたのは8件、被害金額約810万円と高額になりました。示談交渉の結果、被害者全員に被害金額と同額を支払って示談が成立し、内7名からは、執行猶予付きの判決を求める旨の回答を得ることができました。
被害者の中には、当初の弁護士とも一切連絡をとりたくないという方もいましたが、弁護士が粘り強く交渉を行い、全員と示談を成立させることができました。
件数が多く被害額も大きいため、全件について示談を成立させたとしても実刑が十分見込まれる事案でしたが(裁判例においては、被害者6名、被害金額合計約850万円、全被害者に被害額と同額を支払い、被害者3名が寛大な処分を求めているという事案で、2年8月の実刑判決が言い渡されている)、両親に情状証人として出廷してもらったり、保釈後に就職した勤務先に事件のことを正直に伝えて協力してもらったりするなど、情状事実に関する立証を丁寧に行いました。
その結果、判決においては、「本件は基本的に実刑が視野に入る事案である」と判示されながらも、「示談が成立している上、7名の被害者から執行猶予を求めるとの考えが示されていることは、財産犯である本件において大きな意味を持つ。」と示談が大いに評価されました。
そのうえで、「今回は社会内で更生を促す余地がある」と判断してもらい、執行猶予付きの判決となりました。