正当防衛を主張し嫌疑不十分を獲得
事案概要
交際相手に対して繰り返し暴行を加え、傷害を負わせたとの事実で被害届が出され、在宅捜査が開始されたが、依頼者は暴れる交際相手を取り押さえた際にやむを得ずけがをさせてしまったに過ぎず、交際相手の言うような暴行は加えていないと主張した事案。
弁護方針
暴行の態様に食い違いがあるものの、依頼者の行為により交際相手がけがをしたという範囲では争いがなかったため、穏便な解決を目指し、ひとまず交際相手との示談交渉を試みた。しかし、妥当な示談金を提示しても交際相手が受けなかったため、依頼者と協議したところ、高額な示談金を支払って示談するのはやはり納得がいかないとのことだった。そこで、示談して起訴猶予を目指すのではなく、正当防衛を主張して嫌疑不十分を目指す方針に転換した。
依頼者によれば、事件当日よりも前から交際相手はけがをしており、そのけがの様子がわかる日付入りの写真を持っているとのことであったため、その写真を入手した。また、以前から交際相手が暴れ、マンションの管理者に近隣住民からクレームが寄せられていた事実を管理者から聴き、聴取内容を報告書にまとめた。
このように、依頼者の供述内容が信用できる証拠ないし交際相手の供述内容が信用できない証拠を収集し、依頼者の言い分を前提すれば正当防衛が成立するから不起訴にすべきであるとの意見書を担当検察官に提出した。
結果
意見書提出後、嫌疑不十分を理由に不起訴処分となった。