依頼者と綿密に方針を相談し一部否認から自白に転じて、執行猶予を獲得
本件は、浴場やトイレの侵入、盗撮を繰り返してきた依頼者が女装の上、盗撮目的で女子トイレに侵入したことによる建造物侵入で現行犯逮捕された事案です。
弁護方針
依頼者は当初、侵入動機について、女装をしていたため女子トイレに立ち入ったとし、これまで盗撮したことはないとして容疑を一部否認していました。また、常習性や余罪について否認黙秘していました。
しかし、依頼者のスマホには盗撮したと思われるデータが多く保存されていたこと、インターネット検索履歴に部活動の大会、修学旅行等を調べていたことが残されていました。
これらの客観証拠と矛盾する依頼者の供述内容等から当初は起訴後の保釈が却下され、スマホ内の盗撮データから別件盗撮容疑で、建造物侵入・迷惑防止条例違反と、児童ポルノ製造の2件につき、再逮捕勾留にも至りました。
依頼者としては侵入目的、常習性・余罪について頑強に否認するというものではなく、真実を打ち明けると捜査機関や家族から追及されてしまうのが心理的に怖いというもので、証拠隠滅を企てる意図はありませんでした。
そこで、弁護人は罪証隠滅防止を理由とする身柄拘束が不当であると考え、早期身柄釈放のため、依頼者とも相談しながら勾留理由開示公判を請求して、依頼者は常習性、余罪、侵入動機等に関して勾留理由開示公判にて自白し釈放後両親の監督に従う旨供述しました。
弁護活動の結果
その結果、再度の保釈請求が許可されるに至りました。
保釈後は、判明している被害者との間で示談が成立し、判明していない被害者に対しては贖罪寄付を進めて責任を果たそうとしてまいりました。
また、本件の背景に常習化した盗撮行為があったため、専門機関での通院をとおして不合理な認知の解消に図り、裁判所も犯行後の情状を考慮して執行猶予付きの判決を獲得することができました。