暴行事件で早期に不起訴処分を獲得
泥酔状態の被疑者が自分が乗っていたタクシーの運転手に対して胸ぐらを掴む等の暴行を加え、逮捕されてしまったという暴行の事例です。
被疑者は身元がしっかりしていたのもあり、検察官から勾留請求されずに逮捕の翌日に釈放されました。未払いのタクシー代については被疑者自身でタクシー会社に対して後日支払いをしていましたが、被害者に対する慰謝料等の支払いはしていない状況でした。
ご依頼の翌日、弁護士が検察官に連絡し、その翌日には被害者の連絡先を教えていただいて被害者に電話をしました。被疑者の代わりに謝罪の意を伝え、被害者のご体調や事件後の状況等をお伺いした上、直接お会いする日程を決めました。
並行して被疑者には被害者宛ての謝罪のお手紙を書いていただき、その日までに添削等をしました。また、被疑者には家族会議も開いていただき、その結果に基づきアルコール外来も受診していただきました。
弁護士において被害者とお会いした際には改めて被害者のお気持ち等を丁寧に聞き、被疑者からの謝罪のお手紙も読んでいただきました。このような経過を辿ったことで、被害者は穏やかな雰囲気の中示談に応じてくださいました。
その後、示談書や示談金の領収証、アルコール外来の領収証や被疑者によるその感想文等を添付した不起訴を求める意見書を検察官に提出し、間もなく不起訴処分となりました。
事件発生日から1ヶ月もたたないうちに不起訴処分となり、被疑者は精神的な面でも早期に社会生活に復帰することができました。
事件のポイント
酔余の上、飲酒帰りのタクシーとのトラブルが発生することはしばしばあります。口論に止まらず、タクシー運転手を殴るなどした場合、ほぼ100%逮捕されます。また、暴行や傷害事件だけではなく、タクシー料金を踏み倒すと、強盗傷人という重大犯罪となります。また、タクシー会社も、怪我をした運転手の休業等で被害を被ります。
本件では弁護士が迅速に行動した結果、逃走事案ではなかったこともあり、早期に釈放となり、示談も早くまとめ上げ、刑事事件に強い弁護士として力をいかんなく発揮した事例です。
執筆者: 代表弁護士 中村勉