示談拒否も諦めず不起訴処分となった事例
駅の階段において、階段を上っている女性のスカートを覗き見る行為を繰り返していたところ、被害者の女子高校生に通報され、臨場した警察官に任意同行を求められたという軽犯罪法違反事件です。送致後、当事務所に相談があり受任に至りました。
検察官経由で被害者への連絡先取次ぎを試みましたが、被害女性が弁護人に対しても連絡先の開示を拒否したため、示談交渉ができませんでした。
しかし、本件はあくまで軽犯罪法違反の事案であり、その法定刑は「拘留又は科料」にとどまるため、贖罪寄付でも起訴猶予があり得ると考えました。
そこで、依頼者と協議の上、依頼者に無理のない範囲で、しかし科料の上限である9999円を大きく超える金額を慈善団体に贖罪寄付し、証明書を入手しました。
依頼者は、被害女性に謝罪や賠償をしたいという気持ちはもちろん、今後二度と性犯罪を繰り返したくないという気持ちを強く持っていたため、自発的に専門クリニックへの通院を開始し、反省日記を継続的に書いていました。この事実も有利な事情になると判断し、専門クリニックの領収証の写しや反省日記の写しも贖罪寄付証明書と併せて検察官に提出しました。
関係書類一式を検察官に提出して間もなく、不起訴処分となりました。
事件のポイント
示談ができなくても諦めてはいけません。弁護士が諦めた瞬間、可能性も扉を閉じます。罪名、犯罪の性質等のあらゆる角度から示談無しの不起訴処分獲得を目指す、それが刑事弁護士の、普通の弁護士とは違う所以です。
本件は示談が成立しなかった中で、被疑者の反省後悔もあって不起訴処分となりました。
執筆者: 代表弁護士 中村勉