適切な弁護方針と不当捜査への抗議で不起訴
事案概要
派遣型性接待のコンパニオンである依頼者が、インターネット掲示板にて、同店舗所属のコンパニオンに対する誹謗中傷な書き込みが多くなされていたことに流されて被害者が本番行為をしている旨の書き込みをした。
依頼者と被害者の間には直接的な面識はなく、個人的な怨恨等はなかった。上記書き込みが侮辱行為であるとして、警察署より出頭要請がなされた。
弁護活動
書き込み行為時は約1年前であり、侮辱罪の公訴時効 (1年)の成否、特に「犯罪行為が終わつた時」に関し、「侮辱的書き込みをした」時であるのか、「書き込みが削除された」時であるのかという公訴時効(※)の成否に関わる問題があった。
取調べについては、1年前の事件であり当時の記憶、動機、犯意に関してはっきりしなかったこと、公訴時効が成立していない可能性があったことなどから安易に自白することのないように黙秘を指示し対応した。
捜査機関は、黙秘をする依頼者に対して、逮捕を仄めかす言動、供述強要を求める言動、弁護方針批判など違法不当な取調べが見られたため抗議書を提出した。
公訴時効とは、一定期間の経過によって、公訴権が消滅することをいいます。
時効が完成した場合に公訴が提起された場合、犯罪の成否を判断することなく免訴の判決が言い渡されます(法337条4号)。
つまり、一定期間が経過することで、刑罰を問われることはなくなることとなります。
結果
送検後、被疑者取調べが行われることなく速やかに不起訴処分となった。