被害者感情を的確に汲み取り不起訴獲得
盗撮の事例をご紹介します。
路上で女性のスカートの中を盗撮した事案で、結果的に不起訴処分を得ました。
事案の内容は、依頼者が路上で女性のスカート内を盗撮したところ、その同伴者に見つかり、警察署に連れて行かれたというものでした。
受任後すぐに警察を通じて被害者に対して謝罪と示談をさせていただきたいと伝えてもらいました。
逮捕は免れましたが、被害者側からは「処罰を望むので弁護士とやりとりするのは拒否する」と回答されました。
こうした被害感情を酌み、何度も警察官を通じて被害者に連絡するのは控え、事件が検察庁に送致されるまでは被害者とのやりとりは行わないこととしました。検察庁送致後、今度は検察官を通じて被害者に対し「犯人は反省しており謝罪をさせていただきたい」と再度伝えてもらった結果、検察官から「被害者はもう処罰を望んでいないと言っています」という回答を得ました。
被害感情によく配慮し柔軟な対応で弁護活動に臨んだことで、被害者が処罰を望んでいないことが決め手となり、不起訴処分を得ました。
事件のポイント
事件直後は被害者感情がとても厳しいです。被害者のお気持ちに配慮した弁護活動が必要です。示談を焦るあまり何度も被害者にアクセスしようとすると逆効果になりかねません。
また、警察も何度も弁護士の「交渉したい」との意向を伝えるようなことはしません。
まるで警察が弁護士サイドのように被害者に思われ、公正を疑われるからです。
本件は、被害者感情に配慮し、交渉着手のタイミングを見計らったことが結果に繋がった事例と言えます。
執筆者: 代表弁護士 中村勉