被害弁償は、自分の取り分に相当する額だけで十分ですか。
民法上、犯人は、犯行グループの中の末端であろうが中枢であろうが、被害者から請求されれば被害額全額を賠償する義務(連帯債務)があります。
ただし、被害者に自分の負担すべき割合(この割合は、グループの中での立ち位置・役割等により決まります。)を超える賠償を行った者は、その超える部分を他の共犯者に支払うよう請求することができるということになります。
そして、被害者の多くは、心情としても被害金額全額の弁償を望みます。被害者の方から見れば、その犯人が犯行グループの中でどのような立ち位置だったのかは関係なく、犯行グループの一人としかみていませんので、そうした心情を持つのも無理はありません。
さらに、特殊詐欺の場合、組織の上の人間はなかなか捕まらず、捕まったのが下っ端一人だけということも少なくありません。そういった場合、被害者からすれば、その犯人がお金を返してくれる可能性のある唯一の人間ということになります。
被害額が数百万円に及ぶ場合、全額を被害者に返すことが現実的ではないこともあります。弁護士が犯人を代理して、弁償金額等についての交渉を重ねていくことになります。
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