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少年審判で決定された処分に不服の場合どのような手続きをとることができるのでしょうか。

観護措置決定や、少年審判の決定に不服の場合どのような手続きをとることができるのでしょうか。

家庭裁判所の保護処分決定に対し、上訴として高等裁判所に抗告することができます。この高等裁判所での審理を抗告審といいます。
この抗告審は、刑事事件の控訴審に相当しますが、両者には大きな違いもあります。
まず、一つ目が原決定告知の翌日から2週間以内に提出する抗告申立書に抗告理由を具体的に記載しなければならないということです。刑事事件であれば、控訴申立書を提出するまでの期間は、一般的に1か月以上はありますが、少年事件ではたったの2週間しかありません。また、刑事事件の控訴申立書のように、抗告する旨の記載しかしなかったり、「理由は追って抗告理由書を持って詳述する」などと記載して申立書を提出したりするということができません。そのため、少年の抗告事件では、2週間という短い期間で記録を再度丹念に検討し、具体的な理由を付した抗告申立書を作成しなければならないのです。そして、充実した抗告申立書を作成するために、少年本人や家族と面会する必要があります。
二つ目の違いとしては、少年事件の抗告審では審判が開かれず、基本的には書面審理になるということが挙げられます。そのため、付添人としては、事件記録が高等裁判所に送付された段階で、担当裁判官に面接を申し入れ、口頭で抗告理由について補足説明するなどの活動が求められます。抗告審では、抗告申立書を提出したまま、何も活動をしていないと、いつの間にか抗告棄却決定が出されるということが往々にしてありますので、付添人は積極的に活動する必要があります。
三つ目の違いとしては、抗告申立てに原決定の執行停止の効力がないため、申立てをしても保護処分が執行されて少年が施設に収容されてしまうことが挙げられます。この点については、付添人が少年及び少年の家族にしっかりと説明しておかなければ、後々信頼関係を失うことにもなってしまいます。また、抗告をしても結論が変わりそうにない事案で、意味もなく抗告をしてしまうと、少年の更生への意欲を却って削いでしまうことにもなりかねませんので、注意が必要です。

また、少年事件の中でも、検察官関与事件においては、原決定の処分が軽いとして、検察官から抗告される可能性もあります。検察官から抗告された場合についても、付添人に迅速性・積極性が求められることは同じでありますから、付添人は、高等裁判所の担当裁判官に対して、検察官の抗告を受理しないように働きかける必要があります。
具体的には、裁判官に意見書を提出したり、裁判官と面談したりすることになるでしょう。

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