クレプトマニアの診断書さえもらっておけばそれだけで刑が軽減されますか。また、クレプトマニアという診断によって、責任能力が否定されることはありますか。
クレプトマニアは、アメリカ精神医学会の診断基準であるDSM-5において「窃盗症」とされている精神障害です。
現在では、クレプトマニアを中心とする依存症の治療を専門とするクリニックも増えており、万引きを繰り返してしまう方が医師からクレプトマニアとの診断を受けるケースは珍しくありません。
一方で、刑事裁判においては、被告人がクレプトマニアにり患していることを理由に責任能力が限定的である(心身耗弱状態である)という主張が試みられてきましたが、事理弁識能力や行動制御能力が著しく減退していたとまではいえないと判断されて完全責任能力が肯定される事例が殆どです。
重度のクレプトマニアにり患しているとして心身耗弱が認定された判例もありますが(東京地判令和2年4月3日)、そのような事例は極めて珍しいといえます。
窃盗の常習性が認められる事案において量刑の減軽を狙うためには、単にクレプトマニアとの診断を受けるだけでなく、被告人が家族等の協力のもとで通院治療を継続し、これを主張することが必要です。
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