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MDMAが発覚したら刑事事件に強い弁護士にご相談を

MDMAは、麻薬及び向精神薬取締法で所持や使用が禁止されている薬物です。所持や使用が発覚すれば、逮捕、起訴される可能性があります。
弁護士は、所持や使用が発覚し、逮捕や起訴されるのではないかと不安を感じている方に、逮捕されないようにどうすべきか逮捕されたらどうすべきか起訴されないようにするにはどうすべきかなど、不安を解消するためのアドバイスをすることができます。

以下、MDMAがどのような薬物でどのように規制されているか、また、逮捕後の流れを確認し、弁護士に依頼するとどのようなメリットがあるのかについて解説していきます。

MDMAとは

MDMA(正式名称:メチレンジオキシメタンフェタミン)とは、化学薬品から合成された錠剤型の麻薬で、エクスタシーやパーティードラッグとも呼ばれています。大麻やヘロイン、コカインは大麻草、ケシ、コカなどの植物から作られているのに対し、MDMAは複数の化学物質を合成して作られています。

MDMAは本来、白色の粉末ですが、カラフルに着色され、キャラクターなどを模したラムネのような、危険性が分かりにくく、かわいらしい見た目のものが出回っています。
注射器などの道具は必要なく、錠剤を飲むだけで簡単に摂取できるため、クラブなどに通う10~20代の若者に広がっています。

さらに近年ではインターネットが普及し、世間の流通量が増えているほか、SNSなどを利用して簡単に違法薬物を取引する人とコンタクトが取れてしまいます。その例として日本大学のアメリカンフットボール部に所属していた21歳男性が法廷で供述していたように、高校3年生くらいからSNSで薬物の情報を手に入れて友達と試していたということから金額もそれほど高くないことが分かります。つまり、身近に存在する事から、MDMAへの心理的なハードルが低くなっているということです。

MDMAを施用するとドーパミンやセロトニン、ノルアドレナリン等の神経伝達物質、脳内ホルモンが大量に出ることにより、興奮や多幸感が高まります。しかし、幻覚、幻聴、精神錯乱、脳や神経の破壊、心臓や肝臓の機能不全、睡眠障害などの作用もありその効果が5~6時間続くとされています。 乱用を続けると場合によっては死に至るケースもあるため、世界各国で違法薬物として規制されており、国連条約でも危険性の高い分類Ⅰに入っている非常に危険な薬物です。

MDMAを取り締まる法律

MDMAは、麻薬及び向精神薬取締法で規制対象となっている麻薬です。
したがって、麻薬取締法により、輸出入、製造、譲渡などについて取り締まりが行われています。
麻薬取締法は、麻薬および向精神薬の輸出入、製造、譲渡などについて必要な取締りを行い、麻薬中毒者に必要な医療を行うなどの措置を講ずることで、違法薬物の乱用による保険衛生上の危害を防止し、公共の福祉の増進を図ることを目的としています。

同法12条1項本文でMDMAの所持・使用を禁止しています。

麻薬及び向精神薬取締法 第十二条
ジアセチルモルヒネ、その塩類又はこれらのいずれかを含有する麻薬(以下「ジアセチルモルヒネ等」という。)は、何人も、輸入し、輸出し、製造し、製剤し、小分けし、譲り渡し、譲り受け、交付し、施用し、所持し、又は廃棄してはならない。ただし、麻薬研究施設の設置者が厚生労働大臣の許可を受けて、譲り渡し、譲り受け、又は廃棄する場合及び麻薬研究者が厚生労働大臣の許可を受けて、研究のため、製造し、製剤し、小分けし、施用し、又は所持する場合は、この限りでない。

ここでいう「麻薬」の定義は、同法別表第一で定められています。

第二条
この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 麻薬 別表第一に掲げる物をいう。
別表第一
七十五 前各号に掲げる物と同種の濫用のおそれがあり、かつ、同種の有害作用がある物であつて、政令で定めるもの

MDMAについては、麻薬、麻薬原料植物、向精神薬及び麻薬向精神薬原料を指定する政令1条58号に定められているため、「麻薬」に当たります。

五十八 N・α―ジメチル―三・四―(メチレンジオキシ)フェネチルアミン(別名MDMA)及びその塩類

MDMAの罰則

実際にMDMAを所持・使用等し、上記の麻薬及び向精神薬取締法12条1項本文に違反した場合、どのような罰則があるのでしょうか。同法では、以下の4つの類型に分類されています。

  1. 輸出入・製造・非営利目的の麻薬原料植物の栽培を行った場合、1年以上10年以下の懲役(麻薬及び向精神薬取締法65条1項)
  2. 営利目的で輸出入・製造・麻薬原料植物の栽培を行った場合、1年以上の懲役又は1年以上の有期懲役及び500万円以下の罰金(同法65条2)
  3. 製剤・小分け・譲渡・譲受・所持・施用・施用のための交付・麻薬の処方せんの交付を行った場合、7年以下の懲役(同法66条1項、66条の2第1項)
  4. 営利目的で製剤・小分け・譲渡・譲受・所持・施用・施用のための交付・麻薬の処方せんの交付を行った場合、1年以上10年以下の懲役又は1年以上10年以下の懲役及び300万円以下の罰金(66条2項、66条の2第2項)

また、上記の類型について、営利目的の有無にかかわらず、未遂罪も罰せられます。(65条3項、66条の2第3項)

MDMAで逮捕された後の流れ

警察は、引き続き身柄拘束をする必要はないと判断した場合、被疑者を直ちに釈放しますが、引き続き身柄拘束をする必要があると判断した場合、被疑者の身柄拘束のときから、48時間以内に被疑者を検察へ送致する手続きをとります。
MDMAの使用・所持等が発覚した場合、逮捕・勾留される可能性が高いです。

送致された場合、検察官は、被疑者に弁明の機会を与え、身柄拘束の必要がないと判断すれば、直ちに被疑者を釈放しますが、引き続き身柄拘束の必要があると判断した場合には、被疑者を受け取ったときから24時間以内(被疑者が逮捕されたときから72時間以内)に裁判官に対して勾留請求を行います。勾留とは、罪を犯した疑いのある者を刑事裁判にかけるために刑事施設に身柄拘束することをいいます。

その請求を受けて裁判官は、被疑者に対して勾留質問を行い、勾留の当否を判断します。捜査の上で身柄拘束が必要だと判断した場合は勾留決定をします。被疑者の勾留は原則10日間、さらにやむを得ない事情がある場合はさらに10日間延長し、最大で20日間の拘束を認めます。
この勾留期間内に検察官はMDMA所持等の事実について起訴するか否かを判断します。ここで起訴されれば刑事裁判が開かれ、裁判所が法廷で審理します。

MDMA事件で前科が付くとどうなるか

刑事裁判は、ごく簡単にいうと、犯罪事実が発覚し、取り調べの後、起訴されることで開始します。
この流れのうち、起訴するか否かを判断するのは検察官です。起訴された場合、刑事裁判が開始され、有罪判決が下されれば、上述した刑罰が、行為類型に応じて課され、前科が付くことになります。

前科がある場合、その存在を隠したいところですが、就職時に記載する必要がある場合もあり、前科があることで採用面でも不利になる可能性があります。また、前科があることで取得できない資格もあります。何より実刑判決となれば、さらに長期間日常生活から離れることになるため、社会復帰に困難が生じる可能性もあります。このように前科がつくと、今後の生活に多大な影響を与えます。

さらに、起訴されること自体により被る不利益もあります。起訴されれば、裁判に出向く必要があるため、会社や学校を休まなくてはならず、何度もそれを繰り返していると、最悪の場合、職を失ったり、学校を退学したりすることになる可能性があります。そのため、可能な限り、起訴されないよう対応していくことが最も被疑者となった方への負担が少ないと言えます。

起訴されない可能性はあるか

MDMAにおいて、起訴されないということが可能なのでしょうか。
起訴されれば刑事裁判が開始すると上述しましたが、検察官は「不起訴」という判断をすることもでき、被疑事実(被疑者が犯したとされる犯罪事実)について、「嫌疑なし」、「嫌疑不十分」、「起訴猶予」などの理由で、不起訴処分とすることがあります。不起訴処分となれば裁判は開始されず、有罪判決を受け、前科が付くということにはなりません。

MDMAの所持等を犯した場合に、不起訴処分となり得るかですが、令和4年版犯罪白書によると、麻薬取締法違反における起訴率は61.6%であり、起訴される可能性は高いです。
MDMAの所持や使用については、鑑定書という信頼性の高い証拠があるということや、日本の薬物事犯における厳罰主義が起訴率を上げる要因になっています。

被害者がいる事件の場合は、被害者と示談し、被害者が加害者の刑事処罰を望まない意思表示をすれば、訴追の必要性はなくなり起訴猶予で不起訴になる可能性が一定程度あります。しかし、MDMAをはじめ薬物事件の場合は特定の被害者がおらず、示談交渉による解決ができません。
そのため、薬物事件では起訴猶予が狙いにくいのです。一般に初犯であれば寛大な処分が下されるとのイメージがあるかもしれませんが、MDMAの場合、初犯であっても、不起訴処分となる確率が高いというわけではなく、行為類型、犯行状況などによっては、不起訴処分とならないだけでなく、実刑判決が下される可能性もあります。

例えば、営利目的で大量のMDMAを所持していたり、販売していたりした場合には、執行猶予判決すらつかない可能性があります。しかし、所持量が一回に使用される一般的な量以下のごく微量であった場合や所持に至る経緯を見て故意がない場合などは、不起訴処分となる可能性はあります。
基本的には、執行猶予判決とすらなりにくいMDMA事案ですが、執行猶予判決であっても、刑務所に入る必要はありませんが、前科が付きます。そのため、不起訴処分となるよう検察官に働きかけていくことが必要です。

また、本人に更生可能性があり、検察官に刑罰を科す必要がないと思わせることができれば、不起訴処分となる可能性はあります。この場合、家族をはじめとする周囲のサポートが必要不可欠です。
MDMAは、幻覚を起こす作用があり、依存性が大きいと言われており、本人の意思だけで、MDMAとの関係を断ち切ろうとしても断ち切れないことが少なくないというのが現実です。そのため、本人のみで更生しようとしているという姿勢をみせるだけでは、検察官に更生可能性があると思わせるのは困難です。家族が積極的にサポートすることを申入れ、本人に家族などの監督を受けることを誓約させるなどして、検察官に働きかける必要があります。

MDMAで逮捕された場合の弁護活動

MDMAに限らず、薬物事犯では一般に捜査機関に犯罪が発覚すると逮捕・勾留される確率が高いです。逮捕・勾留は、証拠隠滅や逃亡等の恐れがあることなどを理由としてなされるものですが、薬物は容易に処分できるなど証拠隠滅の可能性が高く、また、逃亡のおそれがあるためです。

薬物事犯特有の観点から、どのような弁護活動を行うかですが、勾留の延長を回避したり、執行猶予付判決(薬物事犯の場合、再犯であっても特別法によって一部執行猶予が付く場合がある)を得たりすることを目指すことが考えられます。

取調べへの適切なアドバイス

弁護士は取調べに際してのアドバイスを行うことができます。
取調べの雰囲気は日常生活においてはないような異様なものであり、その経験が全くない人、ほとんどない人にとっては、その空間にいるだけで自分の言いたいことが言えないようになってしまう可能性があります。
また、取調官の巧みな誘導尋問に乗せられ、事実とは異なる供述をしてしまうことも考えられます。そのような不適切な取調べによって得られた供述は後から争うことも可能ですが、一度作成された供述調書をひっくり返すのは、相当困難なことです。

そのため、そもそも不適切な取調べ下で、事実と異なる供述をしないことが重要です。
そのような対応をするべきといわれても、上述したように取調べの異様な雰囲気にのまれ適切な対応をとることができないことは多々あります。そこで、弁護士があらかじめ想定される質問や被疑者に不利にならない答え方など丁寧に取調べにおける対応についてアドバイスを受けることができます。

薬物依存治療のサポート

薬物事犯は、薬物から抜け出すための治療やリハビリが必要であるという点では通常の犯罪と異なるため、弁護活動も通常の事件とはやや異なる視点で行う必要があります。被疑者・被告人に反省させ、家族らの監督のもと、生活させるという面が重視されがちかもしれませんが、薬物依存から脱するため、治療する点にも目を向ける必要があります。

例えば、起訴された後に保釈申請し、薬物治療を受け、その成果を裁判で報告できるようにしたり、ダルク(薬物依存者の薬物依存症からの回復と社会復帰支援を目的とした回復支援施設のことです。)に入寮・通所できるようにしたりします。身柄拘束からの解放が望めない場合でも、面会等を通じて治療回復の機会を提供するよう試みることが考えられます。
薬物の治療には、専門機関の関与が必要不可欠ですが、必要な関係機関との調整を弁護士が行うことができます。

弁護士は薬物事犯弁護の経験をもとに有利な事情が何かを精査し、それをもとに検察官に働きかけることができます。上述したとおり、薬物事犯は他の刑事事件と異なる側面があるため、薬物事犯の弁護の経験が豊富な弁護士が適切な弁護活動を経験をもとに行っていくことが、より良い結果を得るために重要です。

MDMAを使用していない場合の弁護活動

実際にはMDMAを所持や使用した事実がない場合、弁護士が必要な主張立証を行うなど無罪判決を得るため活動することが考えられます。
実際にMDMAを所持や使用した事実がないにもかかわらず、逮捕されたときは、当然無罪を勝ち取らなければなりません。犯罪事実がないにもかかわらず、逮捕勾留され、起訴されたとなれば、職務質問や任意同行、任意同行後の取調べなど、それぞれの場面において、様々な問題があったと考えられます。

犯罪事実がないにもかかわらず、逮捕勾留され、起訴されることはないだろうと思われるかもしれません。そのようなことは決してあってはならないことですが、不適切な取調べ下で、事実と異なる供述が引き出されるなど、実際には起こり得ます。
真実と符合しない罪に問われることを回避するためには、それぞれの場面における問題点につき反論し、検察官の立証を崩していく必要があります。しかし、それらの様々な問題点を自ら発見し、必要かつ効果的な反論をしていくことは非常に難しいです。いわゆる違法捜査の案件にも対応したことがあるような刑事事件を多く取り扱う弁護士に相談するのがより良い結果を得ることに繋がるでしょう。

MDMA初犯で発覚した時に取るべき行動は

薬物事犯は一般に被害者のいない犯罪であり、示談ができません。そこで、示談の代わりに裁判で有力な情状として評価されるのが、薬物から抜け出すための対策をしている事実です。
すでに、薬物から抜け出せているか、その準備ができていれば、わざわざ刑事裁判を開始し、罪に問う必要がないと検察官や裁判官に思わせることができる可能性があります。そのため、以下のような行動をとり、反省していること、二度と薬物に関わらないという姿勢を示すことが重要です。

MDMAをはじめ違法薬物は依存性が強く、薬物犯罪の再犯率は他の犯罪と比べて高い傾向にあります。本当に辞めたいと思っていても一人では難しいことがあるでしょうし、薬物関係者とつながったままでは誘惑から逃れられないかもしれません。しかし、使用を続ければ、その分だけ心身の状態に異常をきたし、これまでの日常が送れなくなってしまいます。刑を軽くするためだけでなく、健康的な日常を守るためにも、医療機関への通院やグループミーティングへの参加など、しっかりとした再犯防止策を早期段階から実行するのがよいでしょう。

医療機関での治療

まず、薬物専門の医療機関に通院予約することが考えられます。医療機関での治療ですと、「依存症対策全国センター」が依存症専門医療機関や治療拠点の一覧リストをHPで公開しており、依存症患者はそこから医療機関を探し、治療に向かうことができます。
また、医療機関とは異なるアプローチとしてダルクに入寮・通所することで治療の機会を作ることが考えられます。ダルク(DARC)とは、DRUG(=薬物)、ADDICTION(=嗜癖 、依存症)、RIHABILITAION(=リハビリテーション、回復)、CENTER(=施設)の頭文字を組み合わせたもので、薬物依存症から回復するためのプログラムを行う機関です。ダルクにおいてどのような治療を行っていくかは、ダルクごとに多少の差はあると思いますが、基本的には、生活面の立て直し・プログラムの動機付け→プログラムの実施→社会復帰の準備・再発予防→社会活動という流れで、回復に向かっていきます。

人間関係の整理や薬物以外のストレス発散方法を

次に、MDMAの使用を勧めてきた友人や売人と関係を断つこと(連絡先を消すなどもですが、物理的な距離を取ることも有効です)、薬物以外でストレス解消をする方法をみつけることなどが必要です。
最後に、更生に向けて家族など周囲の人からのサポートを受けられるような体制を作っていくことが考えられます。すでに述べたように、MDMAとの関係を断ち切るためには本人の意思だけでは難しい面があります。可能な限り、医療機関やダルクのサポートや身近な人のサポートが受けられるような体制を整えることが立ち直りのためには大事です。

以上のような対策を行い、それを客観的に示す資料を提出すること、被告人質問で具体的に自分の行っている治療について話すことで、裁判官からの印象も変わってきます。以上の行動は自ら行うことはできますが、関係機関や周囲の人との環境調整ができるか不安であるとか、身柄拘束されていて連絡ができない状態であるとか、警察や検察、裁判官に刑事裁判を開始する必要がないことをうまく伝えられるかが不安など、心配事・不安事がある場合には、弁護士に相談することが有用です。弁護士が、関係機関との調整や検察官、裁判所への働きかけをしっかりと行います。

MDMA事件の解決実績や感謝の声

当事務所で扱ったMDMA事件の解決実績や感謝の声を紹介します。

まとめ

いかがでしたでしょうか。MDMAとはどのような薬物なのか、逮捕された場合の流れや弁護活動などについて一通りおわかりいただけましたら幸いです。MDMA所持などの薬物事件でお困りの方は、是非刑事事件に詳しい弁護士にご相談ください。

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