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サマーアソシエイト参加者感想文Y.Nさん(2014年)(中央ロー卒)

サマーアソシエイト 参加者感想文 Y.Nさん(2014年)(中央ロー卒)

私は、平成26年7月14日から25日までの間、NICDでサマーアソシエイトとしてお世話になりました。私は、人の罪を裁くという刑事事件に関心があり、刑事事件を専門的に扱う弁護士か検察官を志望しているため、5月にある司法試験後は刑事事件を扱う法律事務所で実務的な勉強をしたいと考えていました。そして私は、NICDでのアルバイト経験があったため、事務所内の雰囲気、先生方や他のスタッフの方のお人柄をよく存じ上げていたことから、NICDのサマーアソシエイトプログラムに応募しました。
私は、実務上のことは知らないと言うことができるこの時期にしかない特権をフル活用し、課題に取り組む際には指導担当の末原先生をとにかく質問攻めにしました。私は呆れられてしまいそうな些末な質問もしていましたが、先生はどのような質問でも懇切丁寧に答えてくださって、本当にたくさんのことを学ぶことができました。特に、文書の形式面について何度も細かくご指導いただきました。一見して体裁が整っていない文書は同じ内容でも説得力が格段に落ちてしまうからです。先生方が作成する書面はどれも全て形式面が細部まで整えられていて、これが当たり前にできる能力は法曹としての基本的な素養であると感じました。ですから、これからサマーアソシエイトになられる方は、文書の起案について疑問に思ったことは些細なことでもしっかりと聞いて確実に身につける必要があると思います。
私がプログラムの中で主に体験させていただいたことは、証拠調べ請求書・不起訴意見書・勾留決定に対する準抗告申立書・弁論要旨等を起案することや、証人尋問事項・被告人質問事項のメモを作成すること、判例や法制度のリサーチ、模擬接見、模擬法律相談、先生の公判の傍聴等でした。模擬接見は日本語だけでなく英語でも行うというとてもハードでやりがいのあるものでした。
この中でも特に印象的だったのが、勾留決定に対する準抗告申立書の起案でした。この事件は私が行ったことが初めて結果として現実化したものでした。この課題を与えられた私はまず、被疑者の接見から戻ってこられた先生より接見で得られた内容をお聞きしました。また、その情報以外にも知りたい事実があったため、翌日の朝に末原先生が事務所にて被疑者のご家族とお話しをする際に、私も同席して質問をさせてほしいというお願いをしました。そして私は、本件は勾留の要件を充足しないという主張を展開するために、どのような事実を聴取すべきかということを考え、質問事項を練りました。翌朝、私はその質問事項に沿ってご家族に直接質問をし、必要な情報を仕入れ、それを基にして準抗告申立書を起案しました。申立書の完成版には中村先生による多くの修正が入りました。その修正は全て的確で鮮やかなものであり感服したと同時に、私もたくさんの経験を積んでこのような文章を素早く作成できる法律家になりたいと強く思いました。また、自分の文章が多々修正されていても、自分が聴取した事項がしっかりとその内容に反映されていることに嬉しさを感じました。そして、この申立書が裁判所に提出された結果、見事に準抗告が認められて被疑者は釈放となりました。私は先生方が整えてくださったものであれ、自分が作成した書面によって被疑者の釈放という結果が現実のものとして現れたことに非常に感動し、刑事弁護士のやりがいを実感することができました。
また、私がプログラムの中で最も時間をかけたのが弁論要旨の起案でした。弁論要旨という文書の作成自体にも相当な時間を使いましたが、同じくらい、もしくはそれ以上に事件記録の読み込みに時間を割きました。この事件にはたくさんの記録がありましたが、最終的にはどこにどのような書面があるのかということが頭に入っており、必要があるときにはさっと目的の書面にアクセスでき、その内容もほとんど完全に頭に入っている状態になっていました。この経験により記録の読み方がよく理解できたと思いますし、なにより夢にまで出てくるくらい一つの事件についてじっくりと考えることができたので、ロースクールでは味わえない深みのある体験になりました。
今回のプログラムによる経験は、私の貴重な財産となっています。そこから得られた情報は随時メモしていましたので、プログラム終了後にそれらをまとめて大切に保存してあります。これが今後私の助けとなってくれることを確信しています。これからサマーアソシエイトになられる方は目的意識をしっかりと持ちつつ柔軟な姿勢で多くのことを学んでいただけたらと思います。
最後に、中村先生をはじめ、諸先生方、スタッフの皆さん、本当にありがとうございました。全力で駆け抜けたこの2週間、大きく成長することができたと思います。心より感謝申し上げます。

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