サマーアソシエイト 参加者感想文 R.Wさん(2016年)(京大ロー在学)
はじめに
私がNICDのサマーアソシエイトに応募させていただいたのは、NICDが刑事弁護専門の弁護士事務所であったからです。私は大学・法科大学院の講義で刑事系に興味を持ち、司法修習生となる前に検察官と刑事弁護人の対立構造を両面から見てみたいと考えて調査していましたが、刑事弁護専門の事務所はなかなか見つかりませんでした。そんな中、NICDのサマーアソシエイトの募集を見つけたときにはこれだ!と思いましたし、そう思った次の瞬間には志望動機等の必要書類を作成し始めていました。
そして、無事面接も通過し、私がサマーアソシエイトの2週間で学んだことは、刑事弁護が時間との勝負であるということ、また、いつどんな仕事が来るかわからないことでした。
時間との勝負であるということ
まず、サマーアソシエイト初日に驚いたことはメールボックスに溜まるメールの量でした。依頼が来ればすぐメールを送り、内容を所員全員で共有し、全員即レスは当たり前の世界なので、どんどんメールが溜まっていきます。これを全て読んで自分に関係のあるメールに素早く返信をすることに、私は焦りと戸惑いを感じてしまいました。しかしながら、2週間のうち、刑事弁護は状態が刻一刻と変化し、一分一秒の差が明暗を分けるスピード命の職業であることを体感し、メールの共有と迅速な返信はその表れであると感じるようになりました。
また、いただくアサインの期限が短いこともスピード命の職業であることの表れであると感じました。おおよそのアサインの期限はその日中であったため、中村先生に提出した書面の中で満足いく出来であったものはありませんし、実際、弁論や尋問事項を書いた書面については跡形がないほど真っ赤に修正された状態でご返信いただきました。なんとも言えない気持ちになるとともに、この気持ちを糧に成長しようという強い気持ちを持ってアサインに取り組まなければならないなと強く感じました。
このように、刑事弁護をするにあたっては、限られた時間の中で迅速に処理する能力が必要であると感じました。
いつどんな仕事が来るかわからないこと
もう一つ学んだこと、それはいつ如何なる仕事が降ってくるかほとんど分からない中、どのような事態にも対応できるような状態でいることの難しさです。アサインは中村先生からメールでいただくことがほとんどですが、実際の事件を扱わせていただくことから、期限をいつまでとするどのようなアサインがくるかわからないため、その日いただいたアサインは出来るだけその日のうちに提出できる形としてから帰るようにしていました。実際の事件でも、新件はもちろん、継続案件でも突然の事態に対応する必要が出てくる等、現場の先生方は思った以上にとても忙しそうで、刑事弁護の緊迫したリアルに立ち会えた経験は何事にも代え難い貴重な経験であったと思います。
突然の事態にも対応できるような余裕を常に持ち続けることが必要となってくるのだと思いますが、レギュラーの仕事だけでも大変であるので、相当の訓練が必要であるなと感じました。
模擬刑事手続について
また、実際の事件以外にも模擬接見や模擬刑事手続を行わせていただきました。模擬刑事手続で私は弁護人役となり、検察官に対する勾留回避の意見書と、裁判官(役の先生)に対する勾留請求却下の意見書を起案しました。どちらの起案も初めてだったので、先生に本をお借りして読みながら書面を作成しましたが、なかなか思うようには行かず、先生に多くを指導していただきました。
本を読むだけでなく、実際に起案をし、少しでも経験を積めたことはとてもプラスになったと考えています。
終わりに
サマーアソシエイト生としての2週間、分からないことだらけで中村先生や小島先生をはじめとする先生方や、事務員の皆様には多大なるご迷惑をかけてしまったと思いますが、お忙しいにもかかわらず、たくさんのことを快く丁寧に教えていただき、本当に感謝しています。
2週間、大変忙しかったですが、確実に自分の力となったと思いますし、本当にサマーアソシエイトに応募し、採用していただいてよかったなと心から思います。
本当にありがとうございました。