サマーアソシエイト 参加者感想文 M.Mさん(2017年)(一橋ロー卒業)
貴事務所(NICD)での5日間のサマーアソシエイトは、あっという間に終わってしまいました。
サマークラークを実施する事務所は他にも数多く存在していますが、刑事事件を専門に扱う事務所でこのようなプログラムを実施しておられるのは、非常に珍しいと思います。私は、刑事弁護に関心を抱いていたため、NICDのサマーアソシエイトに応募させていただきました。
そして、5日間、法律相談に同行させていただく、公判傍聴をさせていただく、起案のご指導を賜る、など様々なことを体験させていただきました。
法律相談では、先生方の毅然とした応対態度、それに対する依頼者の信頼しきった様子が非常に印象的でした。被疑者や被告人本人はもちろん、そのご家族は、突然の刑事訴追に憔悴しきっていると思います。相談に来る際の被疑者・被告人のご家族の表情は非常に暗く、不安そうなものでした。しかし、柏本先生の法律相談では、依頼人である被疑者・被告人のご家族は、法律相談で不安に思っていることを次々と打ち明け、それに対して先生方がひとつひとつ回答し、また、先生方が聞き方を工夫したりすることで、依頼人は、率直な思いを言葉にされていました。その結果、法律相談が終わる際には、依頼人の表情は、当初よりはかなり和らいでいたように感じられました。
公判傍聴では、佐々木先生の被告人質問を目の前で拝見することができました。佐々木先生は、毅然とした態度で次々と被告人に質問をし、被告人の言いたいことをうまく引き出しておられました。また、裁判官からの質問に対しても、落ち着いて冷静に自己の考えを回答していらっしゃいました。公判後には、先生方は、被告人やそのご家族と次回期日に向けた流れを簡単に確認していらっしゃいました。この際にも、被告人やそのご家族の表情や話し方から、被告人やご家族は、先生方を信頼しきっている様子がうかがわれました。このような先生方のお姿に強く憧れました。
また、NICDの先生方には、刑事裁判の手続の流れや、少年事件の手続きの流れを丁寧にご指導していただきました。先生方は、具体的な弁護活動を見せてくださった上でそれに関連する手続きを説明してくださるので、基本書等で漫然と刑事の手続きを勉強するのとは異なり、手続きの流れがスッと頭に入ってきました。また、少年事件の特殊性についても学びました。少年事件については、通常の刑事事件とは大きく異なるにもかかわらず、修習では少年事件に触れる機会があまりないとのお話しを伺い、少年事件について理解を深めることの大切さを学びました。
起案については、書面一つ作るのにもこんなに苦労するのかと落胆しながらも、先生はご親切なご指導のおかげで何とか形にすることができました。小島先生から、赤がたくさん入った裁判所に対する上申書の英訳の添削が返ってきたときは、いつになったらこのような美しい英文の法文書が書けるようになるのだろうと、落胆しました。しかし、今後、修習や実務でこうすればうまくできるということのイメージをつかむことができました。今後に活かすことのできる経験になったと思います。
また、NICDの事務員さん、先生方は非常に仲が良く、雰囲気も和気あいあいとしていたので、毎日事務所に行くのが楽しかったです。おかげさまで、気軽に質問等することができました。
サマーアソシエイト全体を通して思ったことは、NICDは、本当に被疑者・被告人の意思を尊重し、検察という国家権力から被疑者・被告人を守るために全力を尽くしていらっしゃるということです。中村先生は、どんなに偉大な政治家であっても、逮捕されたり、起訴されたりすれば、一瞬にして弱者になるので、被疑者・被告人を弁護士が救わねばならないとのお話しをされていました。そのような貴事務所の理念には深く共感するとともに、非常に憧れました。
最後に、この度は、皆様方お忙しいところ、サマーアソシエイト生として受け入れてくださり、5日間、楽しく濃密な時間を過ごさせてくださり、誠にありがとうございました。