ウィンターインターン 参加者感想文 H.Oさん(2016年)(京都ロー在籍)
私は、平成28年1月21日から2日間、ウィンターインターンとして、NICDでお世話になりました。予備試験合格者向けの事務所説明会や、インターンプログラムは幾つかの法律事務所が開催しておりますが、刑事事件を扱う事務所を見ることができるプログラムは大変珍しく、是非とも刑事弁護の最前線を見てみようと思い応募しました。2日間という機会は、大変短いものでしたが、幾つか気づいた点がありました。
刑事弁護は極めて難しく、それでいて(だからこそ)やりがいのある分野であるということ
2日間という短い時間ですが、少年事件から、裁判員裁判事件まで、かなりの案件の資料を拝見させていただきました。その中で、刑事弁護は極めて難しい分野であると感じました。否認事件から情状弁護を行う事件まで、刑事弁護の方針は事件ごとに様々ですが、共通していることは「知識で太刀打ちができない」という点です。学生が平素学習している事例の多くは、法解釈と法適用の理解と簡易な事例への当てはめですが、実際の刑事弁護は極めて複雑多岐な事案がからまり合い、「何を争点にするべきか」の判断が大変難しいように感じました。そこで求められているのは、法律の理論を当然の前提としつつも、多数の具体的事実から筋となる争点を抽出する作業であり、机上の学習だけでは決して身につけることのできない能力でした。もっとも、そのような難解さがあるからこそ、刑事弁護は私が想像しているよりもはるかに知的で面白い領域でした。
また、事務所は常に電話相談や来所人の方との相談で騒がしく、各々の弁護士先生が、いかに一人一人のクライアントとしっかり「対話」をすることが重要なのか(また、それが求められるのか)を肌で感じました。
刑事弁護という分野の必要性と可能性
刑事弁護と一口に言っても、個人事件からホワイトカラー事件まで極めて多岐にわたります。そして、NICDでは数多くの事件数を扱っているというお話を伺いました。こんなにも多くの依頼者が刑事弁護人を必要としているのかという衝撃を受けたのを覚えております。
また、これからは、海外の事務所との協力により国際的な刑事弁護案件を開拓していくというお話を伺い、企業法務のみならず、刑事弁護活動もボーダレス化し、刑事弁護人の活躍のフィールドはさらに広がっていくものと考えられます。
このような、社会において刑事弁護人の果たす役割の大きさ、活躍のフィールドの広さはNICDで改めて実感したことでした。
NICDの弁護士先生の魅力
最後になりましたが、NICDの先生方はみなさんとても魅力的で、かっこいい先生ばかりでした。どの先生も、仕事を楽しんでおり、また、自分の使命を持って案件に取り組まれておりました。弁護士は(あるいは法律家は皆)、人の人生を左右する重要な役割と責務を負う仕事であり、どのような道に進むにせよ、NICDの先生方が持っているような責任感と自身の仕事への哲学を持って働きたいと思いました。
2日間、本当にありがとうございました。