皆さんは自転車での外出時、自転車に鍵をかけていますでしょうか。また、家に帰ってきてからも自転車に鍵をかけていますでしょうか。
鍵をかけるかどうかの判断にあたっては、その場所でその自転車が盗まれる可能性があるかどうかを自然と考えていると思います。それほど、自転車の窃盗というのは皆さんに身近なものとなっています。
軽い気持ちで自転車を盗む人がいるという感覚から、実際に自転車を盗んだ人においても、大したことにはならないと思いがちです。
しかし、実際は罰金刑を科されたり、さらには罰金にとどまらず公判請求されて正式裁判となったりするケースもありますので注意が必要です。以下、解説いたします。
自転車窃盗とは
文字通り、他人の自転車を盗むことを「自転車窃盗」や「自転車盗」と言います。
自転車窃盗には窃盗罪(刑法第235条)が成立します。
刑法第235条(窃盗)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
窃盗罪の法定刑は10年以下の懲役または50万円以下の罰金となっており、科せられうる刑罰の幅が広くなっています。
自転車を盗むにあたって、その鍵を壊すなどした場合には、別途、器物損壊罪(刑法第261条)に問われる可能性もあります。
また、最初から自転車を盗む目的で他人の家の敷地内や駐輪場内に入れば、住居侵入罪ないし建造物侵入罪(刑法第130条)に問われる可能性もあります。
自転車窃盗の量刑相場
自転車窃盗は、従来、その後に乗り捨てられることが多く、防犯登録制度の効果もあって、所有者の元に戻ることもしばしばある一方で、その窃盗犯人を特定するまでには至らないことが多くありました。また、防犯カメラの映像等により犯人が立件されたとしても、比較的軽微な犯罪として不起訴になる傾向にありました。
近時、被害者の処罰感情の強さ如何では、たとえ初犯であっても不起訴ではなく略式罰金となることも増えてきました。略式罰金は前科となります。
さらに、最近は、一台数十万円から数百万円する高級自転車も増え、転売目的で高級自転車の窃盗を継続的に敢行するケースもみられるようになりました。高級自転車の窃盗は、被害額が高額で、転売目的という点でも悪質といえますので、略式罰金にとどまらず、公判請求され、正式裁判となる可能性が高いでしょう。その場合、罰金刑ではなく、懲役刑が科される可能性が高いです。
弁護士に依頼するメリット
自転車窃盗では、自転車の額や、自転車が盗まれた場所・状況、自転車に対する思い入れ等によっては被害者の処罰感情が強いことが予想されます。事件を起訴するかどうか判断する検察官においても、被害者の処罰感情というものは無視できません。
かといって、窃盗の犯人が安易に被害者に謝罪・弁償すべく直接アプローチしようとすれば、被害者の感情をさらに悪化させる可能性があります。
弁護士に依頼すれば、被害者の感情に配慮しつつ、謝罪の意と反省状況を丁寧に伝えてもらえる上、被害弁償にあたっては、加害者側の処分との関係でも有利になるよう、可能な限り示談という形で書面にまとめてもらうことができます。
仮に被害者に一切の謝罪や弁償の受取りを拒否されたとしても、弁護士に依頼していれば、検察官に不起訴方向に考えてもらうようにするために他になし得ることへ導いてもらうことができ、場合によっては意見書も書いてもらうことができます。
なお、自転車窃盗で逮捕されることはそう多くはありませんが、もし逮捕されてしまった場合には刑事事件の経験が豊富な弁護士に依頼することで、勾留という長期の身柄拘束を避けるために迅速に動いてもらえるでしょう。
返すつもりで勝手に借りても犯罪にあたるのか
従来、窃盗が成立するためには、「不法領得の意思」というものが必要と言われています。不法領得の意思とは、権利者を排除し他人の物を自己の所有物と同様にその経済的用法に従いこれを利用しまたは処分する意思のことを言います。
返すつもりで一時的に自転車を借りる意図の場合には、権利者である自転車の所有者を排除する意思はないものと考えられますので、不法領得の意思を欠くとして、窃盗罪は成立しないことになります。このような態様で他人のものを勝手に拝借することは使用窃盗とも呼ばれ、不可罰と解されています。
もっとも、行為当時に本当にそのような意図があったかは、法律上、客観的な態様等も踏まえて判断されることとなりますので、本人が使用窃盗の意図であったとしても、元の場所に戻さずに乗り捨てる等していれば、当初からそのような態様、すなわち所有者を排除して自己の所有物と同様に他人の自転車を利用し、処分する意図だったもの、すなわち不法領得の意思があったものと判断され、窃盗罪に問われかねません。
このあたりは法律上の議論となりますので、専門の弁護士に相談すべきです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。自転車窃盗もその態様によっては通常よりも重く処罰されかねません。警察や検察から呼出しがあった場合には、お早めに刑事事件の経験が豊富な弁護士にご相談ください。