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税務署の税務調査・国税局の査察手続 – 税務調査・査察手続を弁護士が解説

税務調査と査察手続の違い

調査主体となる機関

税務調査: 税務署:一般的な税務調査を行う機関であり、全国に524か所あります。
査察手続: 国税局:税務署を指導する機関であり、自らも税務調査を行います。強制調査を行う権限を有する点が、税務署とは大きく異なり、調査は税務署が行うものより厳しくなります。

両者の違い一覧

税務調査 査察手続
根拠法 法人税等の各税法 国税犯則取締法
目的 申告漏れの調査 犯則事件を調査し,検察庁に告発する
令状の要否 不要 必要
質問検査の可否 可能 可能
捜索の可否 不可 可能
差押えの可否 不可 可能
逮捕の可否 なし なし
取調べの有無 なし なし

税務調査

税務署による調査手続

税務調査の流れと、各ステップのポイントを簡単にご紹介します

調査選定

税務調査の特徴

税金関係の調査には大きく、任意調査と、強制調査があります。税務調査は前者にあたり、納税者が調査日を決めることができるなど、納税者の承諾のもと、調査が進められます。

調査対象となる業種

年度によって異なり、「今年は飲食業を重点的に」といった感じで進められます。

対象となりやすい事業者

  • 税務署で重点業種とされている業種の事業者(たとえば、風俗業、貸金業など)
  • 赤字が急に黒字に転じた事業者、売上が急増している事業者
  • 本店移転した場合で、移転前後の損益の大幅変更がある場合
  • 前年対比の粗利の割合が大幅に動いている場合
  • 特別損失、特別損益が多額発生している場合

事前通知

税務調査の特徴

事前通知がなされる点が税務調査の特徴です。いわゆるマルサによって事前通知なくいきなり調査が行われる査察手続とは異なります。事前通知は電話で行われます。

調査

調査の対象となる資料

  • 帳簿関係資料
  • 領収書や請求書関係資料
  • 人件費関係資料

重点的に見られる項目

  • 売上: 計上漏れがないかという点について、通帳と請求書や納品書と売上書を照らし合わせることにより、また、仕入れ先に紹介する反面調査によりチェックされます。
  • 在庫: 正しく計上しているか、在庫隠しがないかを見られます。
  • 給料: 従業員の人数を確認されます。席数やタイムカードをチェックされます。
  • 出張費: 空出張がないかなどをチェックされます。
  • 接待交際費: 私的な経費を計上していないかを見られます。私的な経費であるとされた場合、役員報酬として計上される可能性があり、源泉税の対象となります。

税務権限代理証書

この申し立てを行っている場合、納税者に直接訪問する前に、税理士のもとに調査がいくことになります。なお、調査において申告漏れがないとされた場合には、是認通知書が発送されます。

決済

処分等

手続名 手続主体 手続内容
修正申告 納税者 ・申告書に記載した納税額が過少である場合に,増額を求めるものです。
(確定申告書を提出していることが前提となります)
・修正申告書を提出した場合には,更正とは異なり,⑥の不服申し立てはできません。
更正の請求 納税者 ・申請書に記載した納税額が過大である場合に,減額更正をお願いするものです。
更正 課税庁 ・課税庁が一度確定した税額を修正することです。(確定申告書を提出していることが前提となります)
・納税者の申告によってなされた確定申告の所得金額や税額計算が間違っている場合や、税務署の調査したところと異なっているという場合に行います。
・「増額更正」と「減額更正」があります。
決定 課税庁 ・課税庁が申告していない納税者に対して職権によって税額を確定することです。(確定申告書を提出していないことが前提となります)
・決定をした場合には、決定をした所得金額などを納税者に通知することになっています。

不服申し立て又は納税

不服申し立て先と期限

申立先 場面 期限
税務署長等 税務調査の結果、税務署長等がした更正処分に不服がある場合には、一定の場合を除き,処分をした税務署長等に異議の申立てをすることができます。 処分があったことを知った日の翌日から2か月以内です。
国政不服審判所長 異議の申立ての結果としての決定に、不服がある場合などは、一定の場合を除き,国税不服審判所長に審査請求をすることができます。
青色申告書に係る更正に不服がある場合には、異議申立てを経ないで直接審査請求をすることもできます。
異議決定書謄本の送達があった日の翌日から1か月以内(異議申立てを経ない場合は、処分があったことを知った日の翌日から2か月以内)です。
裁判所 審査請求の裁決に不服がある場合には、裁判所に対し、その処分の取消しを求める訴えを提起することができます。 裁決があったことを知った日から3か月以内です。

査察手続

先ほど述べたように、査察手続は、検察庁に告発することを目的とした手続であることから、手続の構造が大きく異なります。

情報収集

新聞、雑誌、テレビ、インターネットなどによって脱税に関する情報収集が行われます。

脱税の規模

対象は、一般の税務調査に比して、大口・悪質な脱税です。

裁判官へ許可状の請求

  • 税務調査とは異なり、事前通知はなされません。
  • 事務所や居宅などの強制調査、証拠物件の差押えが行われます。
  • 質問調査権に基づいて聴取が行われます。
  • 告発が見送られると、国税局と納税者の話し合いにより、修正申告もしくは更正が行われることになります。

検察官との事前協議

告発

起訴

ここから手続の主体が検察官に変わります。
検察官が不起訴相当と判断した場合、ここで手続終了となります。

公判前整理手続

争点と証拠を整理するための手続であり、脱税事案ではもっとも重要な手続です。

公判(裁判)

判決

有罪となった場合、執行猶予が付かず実刑となることもあります。また、国家資格等が制限されることもあります。

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