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無免許運転で逮捕されたら? 弁護士が解説

無免許運転を繰り返すと罰金では済まない

最近は、交通違反に対して厳しい批判の目が向けられるようになってきました。そのため、軽い気持ちで行った交通違反でも実は重い刑罰や行政処分が科される結果になることがあります。

2022年2月、東京都議会議員だった女性が無免許運転を繰り返した罪に問われ、東京地裁において、「議員という法令を順守すべき立場だったことを踏まえると、責任は重い」として懲役10か月、執行猶予3年の判決を言い渡されました。2021年5月から選挙期間中の7月にかけて、無免許運転を7回繰り返したケースでした。

このように、一般には罰金刑で済むと思われている無免許運転ですが、典型的な故意犯であることから、これを繰り返すと遵法精神が欠如しているとして正式起訴され、有罪判決を受けるケースも多いのです。
今回は無免許運転に関する罰則や行政処分について代表弁護士・中村勉が解説していきます。
もし、無免許運転で逮捕されてしまった場合、若しくは身近な人がこれで捕まってしまった場合などはぜひ参考にしてください。

無免許運転で逮捕されやすいケース

無免許運転の種類としては純無免(運転免許証の交付自体を受けたことがない人)で捕まるケースはそう多くありません。多くの場合は、運転免許の停止中や失効後に、やむを得ず、軽はずみな気持ちで車両を運転し、発覚してしまう場合が多いです。また、無免許運転が発覚するタイミングとしては、通常は、一時停止義務違反や信号無視等をした場合に免許証の提示を求められて発覚するケースが多いです。

飲酒をして蛇行運転をしている等走行状況が明らかに不審である場合も同様です。公道を走行中に、無免許ということだけで逮捕されてしまうケースはそう多くはありません。中でも特に問題なのは、重大な交通事故を起こしてしまった場合や、重大な犯罪と併せて無免許運転をしてしまった場合です。そのような場合には、その場で現行犯逮捕されてしまう可能性が高いでしょう。

もっとも、仮に無免許運転が発覚してしまった場合であっても、初犯であって、他に交通事故を起こした等の場合がない限り、逮捕される可能性は高くはありません。この場合、起訴自体されないことも十分考えられ、起訴されたとしても、略式起訴といって、書面のやりとりだけで(実際に法廷に出席し、訴追を受けることなく)罰金刑が言い渡される可能性が高いといえるでしょう。

しかし、無免許運転の発覚を恐れ、検問や職務質問を突破し、新たな交通違反を起こした場合等には、その場で逮捕されてしまう可能性が高くなります。また、無免許運転をしてしまった場合に、前科前歴が複数あったり、重大な交通事故を起こしたりした場合には、略式起訴では済まず、正式裁判が請求される可能性が高くなります。
そのような場合であっても、早期に弁護士をつけることで、執行猶予付きの判決を得ることは十分可能ですので、一度弁護士に相談してみることをおすすめします。

無免許運転で逮捕されてしまったら?

もし、無免許運転で警察官に逮捕された場合、逮捕されてから48時間以内に検察官に送致されます(刑事訴訟法203条1項)。その後、24時間以内に検察官は被疑者を釈放するか、勾留または起訴するか決定します(同法205条1項、2項、3項)。したがって逮捕の期間は、合計しても72時間を超えることはありません。また、逮捕はされても身元(家族や勤務関係)がしっかりしており、「逃亡のおそれがなく、今後続く取調べの出頭要請にもちゃんと応じてくれそう」という判断がされれば、釈放される可能性があります。

逮捕の次に予定されているのは「勾留」です。勾留は、検察官が逮捕の後、引き続き身柄拘束が必要と認められる場合に裁判所の許可を取って行われます。検察官は警察から事件が送られてきてから24時間以内に勾留の要否を判断します。仮に勾留処分となった場合、公訴提起まで10日間勾留され(同法208条1項)、この勾留は最大で20日間にも及ぶ場合があります(同法208条2項)。

無免許運転とは?どこからが無免許運転?

無免許運転とは、運転免許の交付を受けていない車両を運転することを指します。運転免許の交付を受けることは公道を安全に走行するために必要なものであり、運転者本人のみならず、歩行者や他の車両の運転者の安全にとても重要なことです。そのため、無免許運転は、常に重大な交通事故を引き起こす危険が含まれており、その意味で、免許不携帯とは明確に区別されています。無免許運転を禁止している道路交通法上の規定は以下の通りです。

第六十四条
何人も、第八十四条第一項の規定による公安委員会の運転免許を受けないで(第九十条第五項、第百三条第一項若しくは第四項、第百三条の二第一項、第百四条の二の三第一項若しくは第三項又は同条第五項において準用する第百三条第四項の規定により運転免許の効力が停止されている場合を含む。)、自動車又は原動機付自転車を運転してはならない。

では、上の条文を参照しながら、実際に、どのような場合に無免許運転の罪が成立するか、順番に説明していきます。一般的に、無免許運転の種類は、以下の通り、4つに分けられます。

  1. 純無免
  2. 運転免許証の交付自体を全く受けたことのない人が車両を運転するときに成立するもの。

  3. 取消し無免
  4. 運転免許の取消し処分を受けた場合に、その処分がなされた後に運転するときに成立するもの。

  5. 停止中無免
  6. 免許の停止処分中に運転するときに成立するもの。

  7. 免許外運転
  8. 一定の車両の免許を保有しているが、当該車両の種別以外の車両を運転したときに成立するもの。(バイクの免許しか保有していないのに、車の運転をした場合など)

また、日本国内では無効な外国の運転免許証をもって運転していた場合も無免許運転に該当しますので、ご注意下さい。

免許条件違反とは

免許証を交付されたときに、運転に際して条件を付されることがあります。これが「免許条件」です。免許条件違反とは、例えば、運転免許証に「AT車に限る」との記載があるのに、マニュアル車を運転したり、「準中型車(5t)に限る」との記載があるのに中型車(8t)を運転したり、する場合のことを指します。

また、免許の条件に「眼鏡等」の記載があるのに、眼鏡やコンタクトレンズの着用せず、車両を運転する場合も免許条件違反になります。両者は似たような内容ですが、明確に区別され、免許条件違反は無免許運転に含まれませんので注意が必要です。免許許可条件違反の違反点数や反則金は違反した条件によって異なります。

第九十一条
公安委員会は、道路における危険を防止し、その他交通の安全を図るため必要があると認めるときは、必要な限度において、免許に、その免許に係る者の身体の状態又は運転の技能に応じ、その者が運転することができる自動車等の種類を限定し、その他自動車等を運転するについて必要な条件を付し、及びこれを変更することができる。

免許不携帯とは

該当する車両の免許の交付は受けているものの、運転中に免許証を携帯していなかった場合、又は警察官から免許証の提示を要求されたにもかかわらず、提示をしなかった場合に成立します。免許証の交付自体は受けているので、運転技能には問題がない点で、免許条件違反や無免許運転とは明確に区別されています。

免許不携帯の場合は、違反点数はありませんが、どの車両を運転していた場合も、一律で3000円の反則金を納付することが要求されます。反則金を納めなかった場合には罰則として、2万円以下の罰金又は科料が科されることになります。

第九十五条
免許を受けた者は、自動車等を運転するときは、当該自動車等に係る免許証を携帯していなければならない。
2 免許を受けた者は、自動車等を運転している場合において、警察官から第六十七条第一項又は第二項の規定による免許証の提示を求められたときは、これを提示しなければならない。

無免許運転の罰則について

無免許運転をしてしまった場合

無免許運転で捕まった場合には、通常の場合「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」が科されます。今までは、無免許運転による罰則は「1年以下の懲役または30万円以下の罰金」とされていましたが、交通違反に対する厳罰化の流れを受け、2013年12月1日に、上記のように、罰則の改訂が行われました。

無免許運転の違反点数は25点で、発覚した場合には赤切符が渡されることになるでしょう。赤切符とは違反点数が6点以上の重大な交通違反を犯したときに渡される切符で、これを渡されるということは行政処分を受けることを意味します。そして、免許取り消しの違反点数は15点であるため、無免許運転が発覚した場合には1発で2年以上の免許取消しという行政処分を受けることになります。なお、違反点数は累積制であるため、発覚時の違反点数によってはさらに重い行政処分を受ける可能性はあります。

第百十七条の二の二
次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
一 法令の規定による運転の免許を受けている者(第百七条の二の規定により国際運転免許証等で自動車等を運転することができることとされている者を含む。)でなければ運転し、又は操縦することができないこととされている車両等を当該免許を受けないで(法令の規定により当該免許の効力が停止されている場合を含む。)又は国際運転免許証等を所持しないで(第八十八条第一項第二号から第四号までのいずれかに該当している場合又は本邦に上陸をした日から起算して滞在期間が一年を超えている場合を含む。)運転した者

無免許の者に車両を提供した場合

上記の道交法改正により新設されました。従来の飲酒運転のように、無免許運転を行う者に車両を提供した者も「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」の罰則が科されることになります。

第六十四条
2 何人も、前項の規定に違反して自動車又は原動機付自転車を運転することとなるおそれがある者に対し、自動車又は原動機付自転車を提供してはならない。

第百十七条の二の二
次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
二 第六十四条(無免許運転等の禁止)第二項の規定に違反した者(当該違反により当該自動車又は原動機付自転車の提供を受けた者が同条第一項の規定に違反して当該自動車又は原動機付自転車を運転した場合に限る。)

無免許の人に車両を提供した場合の行政処分について、直接規定したものはありません。しかし、車両を提供された者が交通事故等を起こした場合等には、車両を提供した人も「重大違反唆し(うながし)」たと認定される場合があります。そのときは、車両を提供していた人も免許の取消しや停止処分を受けるおそれがあります。交通違反の厳罰化の流れがある昨今では、このような運用も多くなっています。どのような場合に、行政処分を受けるおそれがあるかは弁護士に相談してみるといいでしょう。

第九十条
公安委員会は、前条第一項の運転免許試験に合格した者(当該運転免許試験に係る適性試験を受けた日から起算して、第一種免許又は第二種免許にあつては一年を、仮免許にあつては三月を経過していない者に限る。)に対し、免許を与えなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する者については、政令で定める基準に従い、免許(仮免許を除く。以下この項から第十二項までにおいて同じ。)を与えず、又は六月を超えない範囲内において免許を保留することができる。
五 自動車等の運転者を唆してこの法律の規定に違反する行為で重大なものとして政令で定めるもの(以下この号において「重大違反」という。)をさせ、又は自動車等の運転者が重大違反をした場合において当該重大違反を助ける行為(以下「重大違反唆し等」という。)をした者
5 公安委員会は、免許を与えた後において、当該免許を受けた者が当該免許を受ける前に第一項第四号から第六号までのいずれかに該当していたことが判明したときは、政令で定める基準に従い、その者の免許を取り消し、又は六月を超えない範囲内で期間を定めて免許の効力を停止することができる。

免許を受けていない者に運転を依頼した場合

こちらも上記の道交法改正により新設されました。免許を受けていない者に運転を行うよう依頼等した者も「2年以下の懲役又は30万円以下の罰金」の罰則が科されることになります。

第六十四条
3 何人も、自動車(道路運送法第二条第三項に規定する旅客自動車運送事業(以下単に「旅客自動車運送事業」という。)の用に供する自動車で当該業務に従事中のものその他の政令で定める自動車を除く。以下この項において同じ。)又は原動機付自転車の運転者が第八十四条第一項の規定による公安委員会の運転免許を受けていないこと(第九十条第五項、第百三条第一項若しくは第四項、第百三条の二第一項、第百四条の二の三第一項若しくは第三項又は同条第五項において準用する第百三条第四項の規定により運転免許の効力が停止されていることを含む。)を知りながら、当該運転者に対し、当該自動車又は原動機付自転車を運転して自己を運送することを要求し、又は依頼して、当該運転者が第一項の規定に違反して運転する自動車又は原動機付自転車に同乗してはならない。

第百十七条の三の二
次の各号のいずれかに該当する者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
一 第六十四条(無免許運転等の禁止)第三項の規定に違反した者

行政処分については、先ほどご説明した車両提供の場合と同様に、無免許者に運転を依頼等した行為が「重大違反唆し(うながし)」たと認定さた場合には行政処分を受ける可能性があります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。無免許運転がどのような場合に成立するか、逮捕された場合の弁護活動等について解説いたしました。無免許運転はときに重大な交通事故を巻き起こし、その場合には、重い刑罰や行政処分が科されることなります。悲しい結果が生じてしまわないよう無免許運転は絶対に行わないようにしましょう。

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上記のような悩みをお持ちの方は、ぜひご相談ください。

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