第1回公判期日後、裁判所は、審理の経過にかんがみ必要と認めるときは、検察官、被告人若しくは弁護人の請求により又は職権で、決定により、事件の争点及び証拠を整理するための公判準備として、事件を期日間整理手続に付することができます(刑事訴訟法《以下、「法」といいます。》第316条の28第1項)。
以下、期日間整理手続の詳細、審理期間、実施数について、弁護士・中村勉が解説いたします。
期日間整理手続ではどのような手続が行われるか
事件が期日間整理手続に付された場合、その手続については、公判前整理手続の規定が準用されることになります(法第316条の28第2項、刑事訴訟規則《以下、「規」と表記します。》第217条の29)。
準用される規定と期日間整理手続の概要は、以下のとおりです。
- 検察官による証明予定事実記載書面の提出と同事実を証明する証拠の請求・開示(法第316条の13、14)
- 弁護側からの類型証拠の開示請求と検察官によるその開示(法第316条の15)
- 検察官請求証拠に対する弁護側の意見(法第316条の16)
- 弁護側の主張の明示・証拠請求・請求証拠の開示(法第316条の17、18)
- 弁護側請求証拠に対する検察官の意見(法第316条の19)
- 弁護側からの主張関連証拠の開示請求・検察官によるその開示(法第316条の20)
- 検察官からの証明予定事実の追加・変更、弁護側からの主張の追加・変更等(316条の21、22)
- 裁判所による争点及び証拠の整理の結果の確認(法第316条の24)
期日間整理手続に被告人は出席する義務があるか
公判期日ではないため、被告人が出席する必要はありませんが、希望すれば出席できます(法第316条の28第2項、第316条の9第1項)。なお、裁判所は、必要と認めれば、被告人に対し出頭を求めることができます(同条第2項)。
期日間整理手続を行った場合に審理期間はどれくらいになるか
公判前整理手続の場合、期日の回数は平均2、3回、期間は3か月前後で、いずれも否認事件の方が長期化する傾向にあるようです。一方、期日間整理手続についての統計は見当たりませんし、事案の内容、それまでの公判の進捗状況、期日間整理手続が行われた事情等により異なると考えられますが、東京地裁で同手続が初適用された事案(東京地判平17.1.26)では、10月の初公判と12月の第2回公判の間に同手続が2回行われました。
期日間整理手続の実施例はどれくらいの数があるか
平成30年において期日間整理手続に付された人員の総数は209名でした。なお、公判前整理手続では1,255名の人員が事件に付されています。平成21年をピークに年々減少傾向にあります。