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回転寿司いたずら動画の量刑・法的問題を解説

いたずら動画の量刑とSNS拡散の法的問題を弁護士が解説

実物を見た上ですぐ手に取って食べられる回転寿司。よく行くという方も多いのではないでしょうか。
最近では、自分の食べたい寿司などを別途注文してレーンに乗せて届けてもらったり、専用のレーンで特急列車に見立てた台車に乗せて届けてもらったりできる仕組みも当たり前になっています。

もっとも、そのような回転寿司の仕組みを悪用したいたずらをする利用客がいることが、SNSに投稿された動画から明らかになってきました。
一度レーンから取った皿を時間をおいてレーンに戻したり(①)、特急列車に見立てた台車で運ばれている他人が注文した寿司にわさびをのせたり(②)、レーンで流れる他人の注文した寿司を盗み食いしたり(③)と、店側はもちろんのこと、他の利用客を不快にするものばかりです。
以下、本件で成立し得る罪名や量刑について、弁護士が解説いたします。

回転寿司でのいたずら動画で成立する罪名や量刑

このような行為が法律的に問題であることはご想像のとおりで、上記①の行為には威力業務妨害罪(刑法第234条)、場合によっては器物損壊罪も、上記②の行為には器物損壊罪(刑法第261条)と威力業務妨害罪(刑法第234条)が、上記③の行為には窃盗罪(刑法235条)が成立する可能性があります。

威力業務妨害罪の法定刑は「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」、器物損壊罪の法定刑は「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料」、窃盗罪の法定刑は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」ですので、いずれも決して軽い罪とは言えません。
そして、公訴時効は威力業務妨害罪と器物損壊罪が3年、窃盗罪が7年です。

さらに、上記のような行為を撮影した動画をSNSに投稿したり拡散したりする行為自体にも威力業務妨害罪が成立する可能性があります。また、名誉毀損罪(刑法第230条)に問われる可能性もあります。名誉毀損罪の法定刑は「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」で公訴時効は3年になります。

ここで注意しなければならないのが、公訴時効の起算点です。
公訴時効は、原則として犯罪行為が終わった時が起算点となります。SNSに上記のような動画を投稿した場合には、当該動画がサーバーから削除されることなく、SNS利用者に閲覧可能な状態に置かれたままである限り、継続的に被害店舗の業務を妨害したりその名誉を毀損したりするものになり得ますから、諸説あるものの、いわゆる継続犯として、犯罪行為が継続しているという考え方も成り立ちます。
その場合、当該動画がサーバーから削除されて初めて、あるいは、行為者が少なくとも削除のための努力をして初めて犯罪行為が終了したものとして公訴時効の期間が進行し始めることになります。

いずれにしても、このようないたずら行為も、SNSへの投稿・拡散行為も決して軽くはない刑罰が予想され、別途被害店舗から民事的責任を追及される可能性も高いですから、安易に行ってはなりません。

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