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即決裁判制度とは – 即決裁判制度を弁護士が解説

即決裁判制度とは

即決裁判手続とは、罰金または執行猶予が見込まれる軽微な事件(死刑または無期もしくは短期1年以上の懲役もしくは禁錮にあたらない事件で、かつ、事案が明白で軽微であるもの)の場合に、起訴と同時に検察官が申立てることにより採られるものです。
即決裁判手続によれば、原則的に即日で公判(公判期日は起訴後14日以内)が終了し、判決が言い渡されます。審理にかかる時間は通常30分程度です。

略式手続と同様に、通常の公判手続による審理が放棄されるわけですから、検察官が説明したうえでこれに対する被疑者の書面による明確な同意が必要となります。
即決裁判手続によれば被告人にとって、裁判手続から早期に解放されるというメリットがありますが、判決で認定された犯罪事実に対しては上訴ができないというデメリットもあります。このような判断を適切にする意味においても、被疑者本人の同意に加えて、弁護人が即決裁判手続に対して書面で同意、または、反対・異議がないこと(「意見の留保」といいます)を表明していなければなりません。

弁護人が意見の留保をした場合には、手続に入ってから同意しなければ即決裁判手続による公判開廷はできません。被疑者が請求すれば国選弁護人が附けられます。弁護人がいなければ無効となる点が略式手続による審判と異なります。

このようにして検察官によって手続が申立てられ、被告人が起訴状に記載された訴因について有罪である旨の陳述したときは、裁判所はある一定の場合を除き、即決裁判手続により審判をするとの決定をします。

ただし、この決定は、判決の言渡し前に被告人または弁護人が即決裁判手続によることについての同意を撤回した時(理由の如何を問いません)や有罪である旨の陳述を撤回した時等は取り消され、通常の公判手続に戻ることになります。

即決裁判手続は即日公判終了が原則ですから、通常の公判審理の場合は被告人の公判期日への出頭が免除されることがありますが、即決裁判手続ではこれが適用されず、必ず出頭しなければなりません。また、通常の公判審理では、検察官による冒頭陳述(証拠によって証明すべき事実を被告人に対して具体的に告知すること)がありますが、即決裁判手続によれば、被告人または弁護人に対して証拠書類を全て開示することによりこれが不要となります。

道路交通法の規定の違反者に対しては特に、迅速適正な処理を図ることを目的に交通事件即決裁判手続が従来設けられていました。違反者が出頭した場合に、捜査から裁判(裁判官の面前での公開の公判手続による)までを一日の手続で終了させるものです。

しかしながら、道路交通法違反の数が年々増加していき、手続がこれに対応できるほどには簡略化されていなかった(いずれにしても公開の公判手続によるため)ので、現在ではほとんど活用されていません。代わって交通切符制度交通反則金制度が導入され、また、近年では待命式略式手続が用いられています。
違反者が反則金を支払わなかったり出頭要求に応じなかったりする場合には、逮捕状により逮捕したうえで、逮捕中に略式命令を請求するものです。

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