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再逮捕の流れや対策について弁護士が解説

ニュースや新聞で「再逮捕」という言葉を耳にしたり目にしたりしたことが一度はあると思います。逮捕されて釈放された場合、また、逮捕されるのではないかと不安になるかと思います。

そのため、再逮捕がなされる場合やその回避方法などについて把握しておくことが重要となります。以下、「再逮捕」について説明いたします。

再逮捕とは

「再逮捕」という言葉は、大きく分けて2つの意味で使われます。それは、①逮捕・勾留中あるいは釈放直後の被疑者・被告人を別の犯罪事実で逮捕すること、②一度逮捕され釈放された被疑者を同一の犯罪事実で再び逮捕すること、の2つです。

①は一般的にニュース等で使われる「再逮捕」、②は法律上の用語としての「再逮捕」、という区別になるでしょう。ただ、②の意味の再逮捕は原則として禁止されており、例外的に行われる件数も僅少です。そこで、次項以下では、通常の刑事事件で起こり得る①の意味の再逮捕に限定して説明することといたします。

なおご参考までに、②の意味の再逮捕についてもここで簡単に説明いたします。(やや専門的ではありますので、難しければそのまま次項に進んでいただいてもいいでしょう。)
刑事手続においては同一事件に基づく逮捕(・勾留)を繰り返してはならないという原則があります。これを再逮捕(・再勾留)の禁止といいます。
これが原則とされるのは、身柄拘束には期間が定められており、何回も繰り返してよいというのでは、それが無意味になってしまうからです。身柄拘束の期間の趣旨という観点からもう少し実質的な説明をすると、当該期間というのは、被疑者の逃亡を防止し、罪証隠滅のおそれを排除して捜査機関が身柄拘束の理由となった捜査を行うためのものであり、この期間の限りでのみ、被疑者にもそのような捜査の負担を強いるという形でバランスがとられています。そのため、捜査機関の都合で同一事件での逮捕(・勾留)を繰り返し、被疑者にその不利益を負わせるというのは、法律の予定するところではありません。このような被疑者の負担超過を回避するためのものが、先述の原則という事になります。

このように原則として禁止されている再逮捕ですが、刑事訴訟法では例外的に認められる場合があると解釈されています。なぜなら、見過ごすことができない逮捕の必要性の高まりとともに、新証拠の発見等による著しい事情の変化が生じる場合があることは否定しがたく、また、原則禁止の趣旨は被疑者に不当な身体拘束という負担を負わせないという点にある以上、不当な身体拘束に当たらないのであれば再度の拘束を認めても差し支えないからです。また、刑事訴訟法199条3項は再逮捕があり得ることを前提として規定されているものと解されているからです。

再逮捕が行われる傾向が強い犯罪

再逮捕が行われる傾向が強い犯罪として、殺人・死体遺棄、振り込め詐欺、集団での準強制性交等、薬物犯罪、業務上横領、の5つが挙げられます。以下、それぞれについて解説します。

(1) 殺人・死体遺棄

殺人を犯したことが疑われる場合でも、いまだ証拠の収集が不十分であったり遺体が発見されていなかったりすると、殺人罪での逮捕ができない場合があります。しかし事件の重大性等から、自由に行動できる状態にしておくと逃亡や証拠隠滅される危険性が大きい事案も相当数存在します。そこで、まず嫌疑の固まった死体遺棄で逮捕し、その身柄拘束中に殺人の捜査を併せて行うことがあります。

(2) 振り込め詐欺

振り込め詐欺は、通常1つのグループにつき多くの被害者が存在します。それらを全て捜査するには相当の時間がかかってしまいます。そのため一部の被害者に対する詐欺事件で逮捕した後、他の被害者に対する詐欺事件で逮捕するということが行われます。また、報道により被害を知った新たな被害者が現れることもあり、この場合にも新たな詐欺事件として逮捕することになります。

(3) 集団での準強制性交等

集団での準強制性交等、例えば合コンに来た相手を酔いつぶすなどして抵抗できなくなったところを無理やり性行為に及ぶような事件の場合、1つのグループが複数回、複数人に対し同じような行為を行っていることも少なくありません。

この場合、被害者の一部が警察に被害相談し、警察が捜査していく中で他の被害者が判明することとなります。また報道を見て新たに被害相談する被害者が現れることもあります。そのため、当初判明していた被害者に対する準強制性交等で逮捕した後、別の被害者に対する準強制性交等で逮捕するということがあります。

(4) 覚せい剤、大麻などの薬物犯罪

覚せい剤での逮捕の場合、家宅捜索や職務質問の際に覚せい剤が見つかり、そのまま現行犯逮捕されるということが多いです。そして、所持していた以上、通常は使用等が疑われます。そこで、尿検査の結果を待って使用での逮捕等が行われます。

大麻の場合も、鑑定に要する時間の差から、乾燥大麻の所持で逮捕した後、大麻栽培で逮捕するということがあります。

(5) 業務上横領

業務上横領の事件では、一回に大金を横領するのではなく、ある程度の額で複数回横領することが少なくありません。この場合、一定範囲の横領で逮捕した後、別の範囲の横領で逮捕するということが行われます。

再逮捕されやすいタイミング

再逮捕されやすいタイミングは、当初逮捕された事件の勾留満期(原則、逮捕から最大23日)の直前や釈放された直後です。起訴された当日またはその後数日間と公判の直後に再逮捕される場合もあります。

再逮捕の流れ

再逮捕は通常の逮捕(最初の逮捕)がされたときと同様の流れでなされます。すなわち当初の逮捕・勾留中に新たな犯罪事実の証拠がそろう等すれば、逮捕状を請求し、その発付を受け逮捕するという流れになります。

再逮捕を回避するには

再逮捕を回避するための手段の1つとしては、反省し罪を認めることが挙げられます。そうすることで捜査が迅速に進み、あるいは逃亡や証拠隠滅の危険性が減少したとして、再逮捕を回避できる可能性があります。ただし、これはあくまでも本当に自ら罪を犯した場合であり争う必要のない場合であることが前提です。

冤罪である場合その他の争う必要がある場合には、不用意な自白は厳禁です。そのような場合には、すぐに弁護士に相談してください。捜査機関への働きかけや示談交渉等、身柄拘束からの早期解放のための弁護活動を受けることが最善の策となります。

ご家族が再逮捕されてしまったら

早期の身柄解放のため、またその後想定される公判等に備えるため、弁護士に相談してください。時間が経てばそれだけ身柄拘束の時間が長くなるだけでなく、再逮捕が繰り返されるおそれや起訴されるおそれ、虚偽の自白をしてしまうおそれなど不利益も大きくなってしまいます。とにかく一度、できるだけ早く、弁護士に相談することが大切です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。再逮捕される場合や対策についてご理解いただけたのではないかと思います。ご家族が逮捕されてしまった場合、再逮捕されそうな場合等、弁護士のサポートが必要なときは、いつでも刑事専門の弁護士へご連絡ください。

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刑事事件は初動の72時間が重要です。そのため、当事務所では24時間受付のご相談窓口を設置しています。逮捕されると、72時間以内に検察官が勾留(逮捕後に更に被疑者の身体拘束を継続すること)を裁判所に請求するか釈放しなければなりません。弁護士へ依頼することで釈放される可能性が高まります。また、緊急接見にも対応しています。迅速な弁護活動が最大の特色です。

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