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事件化前に解決したければ早期に弁護士へ相談を

今回は「事件化前」に「解決する」ということについて触れたいと思います。そもそも「事件化する」とはどういうことなのか、「事件化前」に解決するというのはどういうことなのかどうやったら事件化前に解決するのか事件化の前と後で何か違ってくるのかなどについて順追って説明していきます。

事件化前の定義とは

そもそも「事件化」というのは、被害者のいる事件であれば被害者が被害届を提出し、警察が正式に事件として取り扱って捜査を始めることをいいます。ですから、「事件化前」とは、被害者がまだ警察に連絡をせず警察が関与する前の段階や、被害者が警察に連絡をしても正式な事件としては扱われておらず単なる相談にとどまっている段階を指します。

刑事事件の流れは、事件発生→警察の捜査→送検(検察のもとへ事件が送られる)→起訴・不起訴の決定(裁判所に訴えを提起するかどうか判断する)→裁判→判決(実刑又は執行猶予付きの有罪か無罪)という形で進みます。事件化前の解決ができなかった場合、上述した流れにのって有罪判決が下され、「前科」がつく可能性があります。もちろん、送検された結果、不起訴や無罪の可能性はあります。しかしながら最悪の可能性を想定した場合、有罪判決が下され、「前科」がつく可能性があるということです。

前科が付いた場合の不利益

「前科」とは過去に裁判で判決が下され有罪となった記録のことをいいます。
「前科」は、その人の将来に大きな影響を与える可能性があります。例えば、「前科」が付いたことが報道されてしまうと、SNSが普及している今の時代ですから、ご自身の写真や家族構成、住所まで全てネットにアップロードされ、デジタルタトゥーとして残ってしまう可能性があります。

報道されなかったとしても、履歴書で前科の記載を求められる場合にこれを記載すれば、雇ってくれるところは少ないでしょう。事件の直後は報道されなかったとしても、公開の裁判が開かれたために後から裁判になったり、傍聴者がインターネットに書き込むなどして事件のことが世間に知れてしまう場合があります。誰しも、前科をつけるようなことは絶対にしたくないはずです。では、どのようにすれば前科がつかないのでしょうか。もっとも素早い対処は、警察が事件に関与する前に、事件の当事者との間で解決をしてしまうということです。すなわち、「事件化前」に解決をするということです。

もし事件化され、事件が検察庁に送検され、起訴されてしまうと、世間にも知られているように約99・9%は有罪判決が下されると言われています。当事務所では、起訴された事件であっても無罪判決を獲得した実績が多数ありますが、それでも無罪判決を得るのはそう簡単ではありません。仮に無罪判決を得ることができたとしても、判決までに長い月日を要し、その間長きにわたって身柄を拘束されていた事件もあります。そのような刑事手続に巻き込まれるということ自体が、当事者にとっては非常に大きな不利益になってしまいます。そのような事態になる前に解決することができれば、それに越したことはありません。そのため、前科をつけないためには警察が関与する前の段階である「事件化前」に解決することが重要なのです。

事件化前に解決するためには

具体的に「事件化前」に解決するための手段をご説明します。警察が関与する前の段階において、被害者からの被害届や告訴状の提出を避けることができれば、事件化される可能性は極めて低下します。被害届とは、簡単に言えば犯罪被害を申告するもので、告訴とは、捜査機関に対し、犯人の処罰を求めることをいいます。

被害届の提出は事件捜査のきっかけとして大きな割合を占めています。また、告訴状の提出があった場合、それを受けた警察は関係する書類・証拠物を検察官に送付する義務を負います。そのため、被害届や告訴状の提出を回避することは、事件化の回避に直結します。

名誉棄損罪(刑法230条)や器物損壊罪(刑法263条)や過失傷害罪(刑法209条)など一定の犯罪は親告罪に該当します。そのため、告訴がなければ犯人を起訴できません。親告罪とは検察官が公訴(検察官が裁判所に対して事件の被疑者を刑事裁判で裁判にかけることを裁判所に求める申し立てのことを言います。)を提起(起訴)するときに、被害者の告訴があることを必要とする種類の犯罪のことをいいます。そのため、被害届や告訴状の提出の有無が、刑事裁判手続きに進むことになるか否かを大きく分けます。

以上のように、被害者が被害届や告訴状を提出しない方向に事件を進めることができれば、前科がつくことなく事件を解決することができます。代表的な方策は示談です。

示談とは

示談とは、事件に関する被害金額や慰謝料等を含めた損害賠償額について当事者間で話し合い、合意した賠償金額を支払い、紛争が解決したこととする合意です。その際には示談書や合意書という題名の書面を作成します。多くの書面には、その書面で定められた金額を一方当事者が相手方に支払うことによって、それ以外のお互いの債権債務がないことの確認をしたり、被害者が加害者を許して刑事処罰を求めないことを明記したりします。

「事件化前」であれば、上記の文言に加えて、被害者が被害届や告訴状を捜査機関に提出しない旨を明記することが考えられます。このように刑事事件化する前に被害者と示談をすることで、被害届や告訴状が提出されないことを明確にし、また仮に警察に連絡がいったとしても示談している旨を伝えることで事件化することのないようにして、刑事事件化を回避することができます。

事件化を避けるために示談が効果的な事件

典型的なものは、被害者の財産、生命や身体の安全、性的自由といった個人的な法益を保護法益とする犯罪です。例えば、詐欺罪(刑法246条)や窃盗罪(刑法235条)、傷害罪(刑法204条)、不同意性交等罪(刑法177条)や痴漢(迷惑防止条例)などがそれにあたります。被害者が一定の被害弁償を受けたことと引き換えに、事件化しないことに納得して示談が成立すれば、事件化を避けることができます。

被疑者が存在しても、示談が効果的とならない事件があることには注意が必要です。被害者が存在し、示談によって回復される個人的法益がある場合であっても、同時に社会的法益を保護する観点から設けられている犯罪については、示談の効果が限定的となってしまう可能性があります。
例えば、公然わいせつ罪(刑法174条)や児童ポルノ製造罪などの犯罪は、実質的な被害者との間で示談が成立したとしても、その後に被害者の気持ちが変化し捜査機関に事件を申告した場合には、被害者が許す旨の示談があるからといって違法性が減少しないと評価されて、事件化されてしまい、前科につながるおそれがあります。

事件化前に示談するメリット

事件化前に示談するメリットは様々です。一言で言えば、事件化した場合に想定される色々なデメリットが避けられるということです。一番のメリットは身柄拘束の危険がなくなることです。一度逮捕されてしまうと、今の刑事司法手続では長期間にわたって身柄拘束が続くことが珍しくありません。仕事や通学先を失う可能性があります。事件化前に示談して事件を解決してしまえば、そうしたリスクはなくなります。

他にも、事件化されれば事件によっては報道され、自分が事件を犯したことが世間に広く知られてしまう事例もあります。報道が将来に大きな影響を及ぼすことは言うまでもありません。他にも、刑事手続が長引くことで弁護士費用等の経済的損失が大きくなることも考えられます。

前科がつけば、刑務所に行きうることはもちろん、仕事への影響も計り知れません。法律上、前科があることによってその資格を奪われたり、その資格を取得できないような国家資格もあります。こうした事件化した場合の種々のリスクを避けられることが、事件化前に示談する最大のメリットなのです。
 

刑事事件化を回避したケース

事件化前でも弁護士にご相談を

これまで述べてきたように、事件化前の示談というのは非常に重要な意味を持っています。しかし、「早く示談すればいい」「とりあえずやればいい」というようなものではありません。上述したように、示談において一番重要なことはなにかというと、心から謝罪をし、被害者側が回復するということを目的としたものです。このことを忘れて、「早く」、「とりあえず」、というような示談をしてしまった場合、かえって被害者の神経を逆撫ですることになりかねません。したがって、示談は、適切なタイミングで適切な対応でなされる必要があります。

被害者は犯人からの謝罪や被害の回復を望んでいるとはいえ、犯人のことやその家族、ましてや犯人が行った犯罪行為を簡単に受け入れることができる心理状態にあるとは言い難いでしょう。そのため、犯人自らが謝罪したい、被害回復をしたいといっても、それをそのまま受け入れてくれるとは限りません。そこで、第三者であり、専門性を兼ね備えた弁護士の介入が必要不可欠となってきます。示談にあたって、弁護士は、犯人の誠実な謝罪意思を被害者やその遺族にお伝えするため、まず犯人と向き合います。
 

まとめ

いかがでしたでしょうか。事件化前に解決する重要性を解説しました。いまだ警察に発覚されていない状況ではあるが、犯罪に関することを行ってしまった場合には、いつまでも不安は拭い去る事ができないと思います。ひとりで抱えずに弁護士にご相談することをおすすめします。

当事務所では、加害者側へとなってしまった方が、ご自身のやってしまったことに対して向き合い、行ってしまったことへの反省と今後の更生に向けてなどに注力して弁護活動を行っております。この記事でも紹介したとおり、事件化前の示談交渉は前科をつけないために必要な活動になります。当事務所では、年間3000件を超えるご相談を承っています。お気軽にお問い合わせください。

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