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窃盗で不起訴になるには弁護士に相談

窃盗事件は身近な犯罪ですが、一口に窃盗といっても様々な事件があります。
万引きやスリ、引ったくり、侵入盗など、事案の内容ごとに予想される刑事処分の重さは異なります。
窃盗事件で、不起訴を獲得し、前科をつけないためにはどうすればよいのでしょうか。
以下、代表弁護士・中村勉が解説いたします。

なお、不起訴には、嫌疑不十分という処分と起訴猶予という処分がありますが、ここでは、もっぱら起訴猶予について解説します。

窃盗にはどのような態様があるか

窃盗罪は刑法235条に規定されており、「他人の財物を窃取」することとされています。
物を管理している者の意思に反して、自分の支配下に移すことです。

窃盗事件は身近な犯罪ですが、事案の内容ごとに予想される刑事処分の重さは異なりますし、不起訴になる確率も変わってきます。刑事事件では、不起訴になれば、前科はつかないことになります。特に初犯の場合には事案の内容によっては不起訴になり、前科回避が可能です。

前科がつかないことになれば、学校や会社への不利益も最小限となるでしょう。
また、そもそも警察において、事件を立件しないと判断し、検察官への送致をしないこともあります。微罪処分という処分です。

微罪処分についてはこちらをご参照ください。

窃盗罪の検挙率と起訴猶予率について

実際に窃盗罪での検挙率を見てみましょう。
警視庁が提供している犯罪白書では、令和2年の窃盗事件の手口別検挙率が出されています。
手口別の構成比は、空き巣など侵入窃盗が18.7%、乗物盗が8.2%、非侵入窃盗が73.1%(内万引きが36.7%)とほとんどが非侵入窃盗です。

では、このうち、どの程度が起訴猶予となるのでしょうか。同じく犯罪白書によると、男性全体で46.6%、女性全体で59.9%の起訴猶予率となっています。

出典: 令和3年版 犯罪白書 第4編/第7章/第2節/1

窃盗罪の捜査プロセス

窃盗罪の捜査プロセスには二つあります。
ひとつは、万引きなどにおいて見られる現行犯逮捕です。
もう一つは、通常逮捕です。
ひったくりや侵入盗では犯行後逃走するので現行犯逮捕は少なく、後日、通常逮捕されることになります。

窃盗罪で逮捕されると48時間以内に検察庁に送られ、検事は勾留を付すかどうかを判断します。
勾留されると10日間身柄が拘束され、更に10日間延長されて勾留期間が20日間という長期になることもあります。

万引き等の比較的軽い罪では検察庁に送致される前に、警察署において親族等の身柄引受人に引き渡されて釈放されるケースが多いです。
しかし、それ以外の窃盗事件は勾留が付される可能性がかなり高いというのが実務の傾向です。

どうしてかというと、窃盗はその文字のごとく密かに盗むので犯行目撃者がおらず、もっぱら客観的証拠の集積によって犯人性を明らかにしなければならないからです。指紋、DNA、足跡、残置物、行動手段(車両の特定)、逃走経路等、地道な捜査が必要になるのです。
刑事手続においては、警察が以上のような、必要な捜査を遂げた後、事件記録を検察官に送致し、送致を受けた検察官は、必要があれば追加で捜査を行った上、起訴・不起訴の決定をします。

起訴された場合、裁判で有罪となれば、その刑罰は、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金の法定刑内で処断されます。
もちろん、執行猶予付き判決となり、現実に刑務所にいかなくてもいい場合もありますが、いずれもしても起訴されないこと、つまり、不起訴となるかどうかが重大な関心事になります。

窃盗罪で不起訴となるかどうかが決まる判断要素について

それでは、検事は、どのような事情を考慮して起訴猶予にするのでしょうか。
私も元検事でしたので、その経験から検事の思考傾向をお話しします。
一般的には、以下の諸事情が判断基礎になります。

  1. 被疑者の性格
  2. 年齢
  3. 境遇
  4. 犯罪の軽重
  5. 犯行時の情状
  6. 犯罪後の情況
  7. 前科前歴の有無

ただ、ここで1から7までを羅列しましたが、実務においては、実際の重要度は犯罪の態様に応じて異なってきます。
重要な要素は、4.犯罪の軽重(特に被害額)、5.犯行時の情状(窃盗手段の巧妙さ)、6.犯罪後の情状(特に示談による被害回復の有無)になります。そしてこれらの判断要素は相互に関連しています。

例えば、4の被害額が僅少の場合には6の被害回復の有無の重要性は相対的に低く、逆に被害額が大きい場合には示談による被害回復が不起訴の絶対条件になります。

初犯と不起訴について

過去に一度も窃盗事件の犯罪記録がない場合には、「初犯」という扱いになります。
「初犯」という事情は、上記の7.前科前歴の有無という判断要素に位置づけられ、初犯であることが不起訴に傾く大きな事情となり得ます。

ただ、「初犯」として刑事手続上扱われるケースの中には、事実上も過去に一度も窃盗をしたことのない人のほか、実際には過去に何度も窃盗をしていたが、偶々一度も警察に発覚していない人も含まれますので、特に捜査の取調べにあっては、捜査官は、被疑者が同じ初犯であっても前者か後者かに関心を向け、その追及結果によって起訴・不起訴の判断が分かれることもあります。

記録上にない窃盗事実は、捜査官にも分かりようもなく、本人の供述に依存しますが、本人が過去の窃盗事実を一切否定した場合にこれを根拠なく虚偽と断定し、初犯ではないとして処分を決定することはできません。ただ、この場合でも5.犯行時の情状、特に窃盗手段の巧妙さや計画性、さらに6.犯行後の情状としての罪証隠滅の有無(指紋ふき取りなど)が重要な判断要素として浮上し、起訴・不起訴を決定づけることにもなるのです。

初犯であれば優遇され、刑罰を受けないで済むという考え方をする方もいますが、このように初犯であっても、犯行態様や犯行後の事情によっては起訴されることは多いです。

初犯の被疑者による軽微な窃盗の事案の場合には、略式起訴という公開の裁判を開かずに簡易裁判所が書面審理を行い、罰金刑を課して刑事手続が終わる場合も多いです。
しかし、この場合も、罰金刑を受けたという前科が付くことになります。

初犯ではなく再犯の場合

どの罪種でもそうですが、初犯のケースに比べて、前科があるにもかかわらず再犯に及んだケースの方が刑事処分は重くなる傾向にあります。
例えば、被害額が数百円のコンビニでの万引きの事案の場合、初犯であれば示談をすれば不起訴になる確率が極めて高いです。

しかし、同じような事案で起訴猶予になった前歴が何件もあると、示談をしても罰金刑は免れないことがあり、罰金前科がある方の場合には、正式起訴されて公開の裁判となり、懲役刑が課される可能性もあります。

厳密に言えば、刑法上の「再犯」というのは、刑法56条による懲役を受けてその執行が終わった日、執行免除を得た日から5年以内にさらに罪を犯した者を言います。
なので、不起訴となった場合には、再犯としての扱いにはならないのです。

実際に刑を受けた再犯の場合には、再犯加重がされることになり、2度以上行っている常習者については、常習累犯窃盗として3年以上の有期懲役に処されることになり、厳罰を下されます。

常習累犯窃盗の記事はこちらをご覧ください。

窃盗罪で不起訴になる弁護活動

不起訴になれば、前科が付かないということになりますが、具体的に弁護活動としてはどのような活動を行ってくれるのか、弁護士が必要になるのはどういうタイミングでしょうか。

身柄解放活動

もし、逮捕されてしまった場合には、身柄解放活動が必要です。
勾留が決定してしまうと、最大23日間の身柄拘束がされてしまいます。
窃盗事案では、被害額が少額で被疑者自身は大したことがないと思っていても、同じ店で犯行を繰り返しているようなケースでは逮捕されることも珍しくなく、注意が必要です。

空き巣の事案のように住居に侵入し窃盗をしていたという事件の場合は、悪質性が高いとされ、身柄拘束の可能性が高まり、不起訴や略式罰金で終わる可能性も低くなります。

示談交渉

逮捕の如何に関わらず、窃盗事件の場合は、被害者との示談交渉が不起訴処分を獲得するのに必要不可欠となります。逮捕・勾留された場合には、本人が示談交渉をすることは不可能です。

逮捕されていない状況や勾留されず釈放された場合であってもご自身での交渉は、被害者感情を逆撫でしてしまう可能性もあります。
警察などの捜査機関は、被疑者に対して被害者情報を伝えないため、突発的な犯行や被害者が不明な場合には、被害者の連絡先をご自身で入手することすら不可能です。

交渉のプロである弁護士を通じて示談交渉を行うことで早期の対応が可能となり、不起訴処分になる可能性も高くなります。
なぜ、早期の示談が必要かというと、最大23日間勾留された後に検察官が起訴・不起訴を決めなければならないという事情があります。起訴前に示談が成立したとなれば、窃盗の被害回復がされているため、不起訴処分になる可能性が高まるので、早期の示談が必要なのです。

窃盗罪は親告罪のため、示談が成立し、被害届を取り下げられれば、検察官は起訴しません。結果的に不起訴処分となります。

再犯防止策

窃盗事件の量刑を判断するうえで再犯の懸念事項があります。
窃盗事件は再犯率が高い犯罪なので、再犯しない誓約をするに加え、どのようにして再犯を防止するのかという具体策が必要となります。

中には、窃盗症(クレプトマニア)という何度も窃盗行為を繰り返してしまう依存症のケースもあります。
そのような事件の場合には、専門の医療機関へ入院や通院を行い、症状の緩和を促し、再犯防止策を行い、それを捜査機関へ提出します。
当事務所では、クレプトマニアの事案も多く取り扱っており、医療機関の案内や通院の支援等行っており、治療クリニックと提携した弁護活動を行っております。

まとめ

いかがでしたでしょうか。窃盗事件は、示談ができれば不起訴処分になる可能性の高い犯罪です。

ただし、示談ができたから、初犯であるから、といって必ずしも不起訴になるとは限りません。
同じような事案でも個別事情があるため、同じ結果になるとも限りません。

窃盗事件で逮捕を避けたい、できるだけ軽い処罰を望むのであれば、早期に弁護士に相談することが必要です。警察沙汰になったことがなければパニックにもなりますし、信頼して相談できる弁護士がいつも身近にいるわけではありません。
当事務所では、土日・祝日も無料の法律相談を受け付けており、ご相談者様の負担や不安をなるべく早く軽減できるようにしております。

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当事務所は、刑事事件関連の法律相談を年間3000件ものペースで受け付けており、警察捜査の流れ、被疑者特定に至る過程、捜査手法、強制捜査着手のタイミング、あるいは起訴不起訴の判断基準や判断要素についても理解し、判決予測も可能です。

  • 逮捕されるのだろうか
  • いつ逮捕されるのだろうか
  • 何日間拘束されるのだろうか
  • 会社を解雇されるのだろうか
  • 国家資格は剥奪されるのだろうか
  • 実名報道されるのだろうか
  • 家族には知られるのだろうか
  • 何年くらいの刑になるのだろうか
  • 不起訴にはならないのだろうか
  • 前科はついてしまうのだろうか

上記のような悩みをお持ちの方は、ぜひご相談ください。

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刑事事件は初動の72時間が重要です。そのため、当事務所では24時間受付のご相談窓口を設置しています。逮捕されると、72時間以内に検察官が勾留(逮捕後に更に被疑者の身体拘束を継続すること)を裁判所に請求するか釈放しなければなりません。弁護士へ依頼することで釈放される可能性が高まります。また、緊急接見にも対応しています。迅速な弁護活動が最大の特色です。

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